第47話
俺はローガンさんの手を引き立ち上がり周りを見渡す。
前方を見るとあのナメクジが俺の後ろからくる魔法を弾いている姿が見えた。
どうやら魔法はあまり効いていないように見える。
というかローガンさんの大剣での攻撃も吹き飛ばされたっていうだけであまりダメージを負っているというわけではなさそうだ。
そんな風に俺が悩んでいるとローガンさんは大剣を前に構えて俺の方を向いた。
「少年、動けるか?動けるなら一緒に攻撃しないか?」
「…はい?」
一瞬動揺した。
俺はあまり近接戦は得意ではないしなんなら後方で魔術を撃っている方が有効打を与えることができる可能性があるまである。
なのに近接戦だと?
うわー…ローガンさんの頼みとはいえやりたくない…。
だってナメクジ相手だし、正直言って近づきたくないし。
「少年!行くぞッ!」
そう言い出しローガンさんは大剣を構えて走り出す。
それを見て俺も少し一緒に行こうか迷ったが後に続いて走り出した。
前まで着ていたローブが無くなり取り出しが簡単になったがつい癖になってしまったローブを払う仕草をしながら腰に巻いてあるベルトからナイフを一本取り出す。
あの箱の中に置いてあったナイフは3本。
一つでも無くなると戦闘の作戦の幅がものすごく無くなってしまうから出来れば無くしたくは無いな。
そしてこのナイフはこの世界ではとても異色のものとなっている。
名称としてはスペツナズ・ナイフ。
一時期に浪漫を感じて武器についてインターネットで調べていたからこの武器については知っている。
確か刀身が飛び出すナイフ…だったっけ?
この付いている出っ張っているスイッチを押せば約60kmの速度で飛び出すんだっけ?
うーむ知識が曖昧だ…調べたのなんてもう何年も前だしなぁ。
どうやってこの刀身が飛び出す仕組みになっているのかわからないが…まぁやればわかるだろう。
俺はナイフを左に持ち右手で魔法陣を展開する。
戦闘方法は前と変わらないが今は仲間がいる。
前と同じ結果にはならないだろう。
「があぁぁぁぁぁ!」
ローガンさんが咆哮をあげ大剣を振り払いナメクジをもう一度吹き飛ばそうとする。
だがそれをナメクジは許すことなく背中の金属の触手でずらして迎撃する。
背中の触手とローガンさんの大剣ではローガンさんの方が有利だがナメクジの触手の手数の多さのせいで互角の戦いとなっている。
最早魔法は弾くことはせず近接戦をしている。
このままでも魔法によるダメージで倒すことはできるだろうが先に体力が無くなってしまうだろう。
それに続いて俺もナイフを振るうがそれも触手によって弾かれる。
というか簡単にあしらわれる。
まぁ確かに俺の攻撃は重い攻撃では無いから簡単に防ぐことができるのだろう。
だが、俺の攻撃は何も近接だけというわけでは無いのだ!
右手で魔法陣を描く。
「魔法陣展開!スタンボルト!」
青色に輝く電気が魔法陣から発される。
この魔術は超至近距離でしか効果を発揮しないがその分強い効果を持つ。
その効果とは『麻痺』だ。
身体を自由に動かせなくなるというのは戦闘において最悪と言っていいほどだ。
そうして俺の右手の魔法陣から発される青色の光はナメクジに絡みつきナメクジの触手全体を痙攣させ触手全体の動きがものすごく遅くなった。
その隙を狙いローガンさんは大剣を振り回して触手を全て斬り落とす。
「グガァァァァッ!クソッ!失敗作のくせにやりますねッ!失敗作は失敗作同士仲良くしていれば良いのですヨ!」
そう言いナメクジはこれまで聞いたことがないような咆哮をあげるとデカイ身体をうねらせ触手を増やした。
これまで生えていた触手とは一変し触手の周りに刃が生えているおり先端は蜂の針のように鋭くなっている。
そして魔法部隊もこの異常なことに気づいたのか今まで撃ち続けていた魔法のランクが一段と上がった。
どうやらこれ以上ナメクジとの戦闘は危険だと判断されたらしい。
まぁそのせいで俺らは近接攻撃ができなくなってしまったんだが…。
当然ランクが上がるごとに威力は上がり派手さも上がる。
近づけば爆風が当たり魔法にも被弾する。
これからの戦いは魔法が主体になった戦いになることだろう。
その直後周りの木の影からとある姿を現してくる奴らが出てきた。
どうやら前のことばかり気を引かれてて周りの警戒が怠っていたらしい。
黒色の甲冑とおどろおどろしい色をした不定形の生物。
それが俺らの周りをいつのまにか囲んでいた。
*今回使った魔術一覧*
スタンボルト:電撃を与え相手を麻痺させる。至近距離でしか効果を与えられず威力が低い。
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