第46話
爆音と複数の足音が周りに響いていく。
全く予想にしていなかった突然の出来事で内心ではびっくりして思考が止まってしまうが俺の前にいるナメクジが俺に命令を下し身体が即座に動き出す。
「『刹那』、『行くぞ』…あの国の連中らめ、もうここまで来るとは」
小部屋を抜けて城を抜け、城の裏にある森の中へと入り込む。
このナメクジは移動が遅い。
移動しているこの時にもここへやってきた王国兵は俺達に襲いかかってくるが即座に黒騎士が来て対処していく。
しかし黒騎士も人数が限られているためもうそろそろ数が尽きてしまうだろう。
そして森を抜けて湖へと移動した。
湖の中心には小さな遺跡があった。
するとナメクジは身体を縮こませ祈るように遺跡に身体を構えて言葉を発した。
「偉大なる我らが神よ…我らを助けたまえ」
しかし何も起こらない。
ナメクジは何度も何度も遺跡に向かって祈り続ける。
何も気配のしない遺跡に向かってこいつはしているのだろうか?
祈れば誰かやってくるのだろうか?
「偉大なる神よ、何故お答えしないのですか!?贄ならここにおります!ですのでワタシを助けてください!」
「…(こいつは何を言っているんだ。俺が贄だと?ふざけるんじゃない!)」
その直後ナメクジは俺を背中の金属を使い木に叩きつける。
肺の空気が一気に押し出され咳き込むがナメクジは気にせず金属を俺に叩きつける。
「お前か!?お前がダメなのか!?やはり貴様も失敗作なのか!答えろ…ワタシの何が間違いなのだ?何が間違っているのだ!?」
金属を操り丸くさせて腹を殴る。
しばらく殴りつけられてナメクジは大人しくなり俺に命令をする。
「…支配よ『解けろ』。貴様には失望したよ。まさか贄にもならないとは失敗作より失敗している。まだワタシの作り出した失敗作の方が役に立つ」
突如として身体が崩れ落ちる。
このナメクジが『支配』をしていたから今まで身体が動かせなかったのだろう。
しかし今なら動けるし逃げることができる…がこいつから逃げれるか?
ナメクジはまだ俺への文句を言い続けている。
逃げるんだったら今しかない。
周りを見渡す。
あるのは木しかないが新しいスキル『気配操作』によりある人を見つけた。
そしてある人はこちらの状況を伺い動きを見せていない。
「…(俺が行動しなければあちらにもチャンスは無い…か。)」
頭の中で思い浮かべる。
シンボルはつむじ模様、風のシンボル。
頭で思い浮かべ手を最小限に動かして魔法陣を描く。
「…だから、お前は苦しんで死ぬために『支配』を解いたのだ。…ということだ最後に言い残すことはあるか?失敗作よ」
「…魔法陣展開、エアーカッター」
こちらを見つめ返すと同時に風の魔術である『エアーカッター』を撃つ。
『エアーカッター』はそのまま俺を掴んでいた触手を斬りナメクジの目の茎を真っ二つにして木へと当たる。
こんな至近距離ではこんな化け物でも避けることはできないだろうと踏んで行った行動だ。
そして俺は斬ったと同時に出来るだけの大声で「今ですッ!」と言った。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!」
木々の隙間を駆け抜けて銀色の軌跡がこちらへとやってくる。
そしてその銀色の軌跡は一度止まると振りかぶる。
「おおおおお!スラッシュュュュュ!」
そして振り払われた銀色の軌跡は一閃で周りの木々を薙ぎ倒しながらナメクジへと当たり吹き飛ばしていく。
「すごい」その一言に尽きる。
その直後に銀色の軌跡の後ろからは多くの魔法が飛び交う。
聞いたこともないような魔法がナメクジを吹き飛ばした方向へ一気に降り注ぐ。
「おい、大丈夫か?少年?」
銀色の軌跡を持った者はこちらに手を差し伸ばしてくる。
俺はその手を掴み、言葉を声に出して発した。
「はい、ありがとうございます。ローガンさん」
俺はローガンさんの手を引き立ち上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます