第45話

石しかない部屋に置かれた俺はその場で立ち尽くす。

俺の頭の中に巡る言葉は一つ「どうやって歩いていたっけ?」。

なんとなくだが歩くのが久しぶりな気がしてならない。

さっきまであんなに命令されて長い廊下を歩いていたのに何故かどうやって歩いていたかが思い出せない。


とりあえず右足を前に出して左腕を振り上げる。

片方の足は少し力を入れて前に押し出す感じの感覚を身体で実感しながら右腕を後ろに振る。

なんとも不恰好な動きだがしょうがないだろぅ?

そんなどこに向けた言葉かもわからない言葉が出てくる。


さて、あのナメクジが言うにはあの石を使えばステータス的な物が出てくるんだったか。

にしてもどこも変化していなくてよかった。

身体の外傷は無いし、身体に異物があると言う感じもない。


では、触れてみますか。

そして触れた瞬間全ての情報が頭の中を駆け巡っていく。

頭痛と吐き気がくるがそれを目を閉じて耐える。

少ししてようやく頭痛と吐き気がおさまり石から見た情報を頭の中で整理して確認する。

これでも記憶力は良い方だからな。

一度見たものをそう簡単に忘れはしない。


名前:レナ

性別:女

種族:人間

年齢:5

職業:魔術師Lv3

状態:なし

レベル:38

割り振りポイント:0

HP:110 MP:267

腕力:53 体力:76 俊敏:130

知力:139 魔力:267 器用:140

精神:60

職業スキル

高速展開:Lv1 並列思考:Lv2

スキル

気配操作:Lv1 怨念:Lv2 採集:LvMax

身体操作:Lv6 反射:Lv1 魔の理解:Lvー

ユニークスキル

我流戦闘術:Lvー 暴食:Lvー 神ノ因子:Lv2

回生:Lvー 無情:Lvー

称号

孤児 死と生の狭間を体験せし者 癒す者 

克服者 我流戦闘術開祖 『暴食』所持者

倒錯神の加護


ふむふむなるほど?

んーこれは結構変わったな…。

確認するか。


気配操作:Lv1 (気配遮断+危険察知)気配を読み取り、遮断することを自由自在に操ることを可能とする。

怨念:Lv2 (執念+決死の覚悟)全てを憎み、執念深く諦めなき強い念を持つ者。戦いにおいて傷を負うごとにステータスが上昇していく。傷が治るとステータスの上昇が無くなる。

暴食:Lvー (混食+吸収強化+喰の欲望)全てを喰らい尽くす名を背負う者。食欲増大・全てを食べることが可能。

神ノ因子:Lv2 (豊穣神の血統者+倒錯神の加護)神の力を得た者。食べた物へ一時的に変身できる・あらゆる欲望を他者へ押し付けることができる。

回生:Lvー (自然回復+治癒の身体+精神統一)高すぎる自己修復能力を持つ者。自分の外傷を治す・他者の外傷を治す。なおその際に自らの精神力を消費する。

無情:Lvー (精神耐性+畏怖耐性+病気耐性)思いやり無き者。精神攻撃を無効にする・何事にも動じなくなる(表情に出なくなるだけ)。


『暴食』保持者:スキル『暴食』を持つ者。その者は他者へ食べ物を与え他者からの物を喰らう者。

効果:無し


倒錯神の加護:倒錯と堕落を司る暴虐の神からのご加護。

効果:スキル『倒錯神の加護』取得


「ふむぅ…なんか色々やべえくなっちまったな」


明らかにやばいスキルと称号がずらりと並んでいる。

特に『暴食』はなんでも食べられるようになって食欲が増大するという悪影響しかない。

にしても称号がいくつか無くなっているな。

転生者という称号が何故か無くなっているし…。

そんな風に考えているとドアの向こうからあのナメクジの声がして俺の身体が強張った。


「確認は済んだか?完成体No.0よ。そろそろ行くぞ『出てこい』」


自然に俺は「はい…」という返事をしてドアを開ける。

また長い廊下を歩き出す。

歩いて周りを目だけで確認する限りいくつもの部屋があるがドアは開いている。

中身は空っぽ、作ったは良いものの何にも使っていないようだ。


そんなこんなで歩き、階段を登り外へと出た。

どうやら今までいたところは城の地下らしい。

そして俺はナメクジに連れられ玉座の前まで移動した。

玉座にはもはや骸骨と大差無いようなボロボロになった王冠をかぶる者が座っている。

周りにはおそらくこのナメクジの犠牲となったであろう死体の数々。

半身が真っ二つになった者、鎧ごと斬られたであろう兵士、腹に風穴が空いた子供の死体。

普通の人だったら見ただけで吐くであろう死体が山のように積み重なっている。

ナメクジはそれを器用に触手で掴み口に含んでいく。


「あぁそうだ、ワタシの最高傑作完成体No.0よ。そういえば名前がまだだったなぁ」


そう言いナメクジはまた悩み出す。

その間に後ろからあの時戦った騎士がやってきて死体を喰らっては帰っていく。

騎士はこのナメクジがさっき言ったように進化したらしく鎧に血管のような物が浮き出ておりまるで鋼鉄の筋肉のようになっている。

明らかに俺が勝てるような奴では無い。


「むーぅ。『マザー』いや『刹那』…そうだワタシの最高傑作なのだから強いに決まってるからな『刹那』にしようではないか」


そう言いナメクジはうなづく。

なんともまぁ厨二臭い名前だこと。


「では、『刹那』よ。お前に武器と防具を授ける。『ついてこい』」


そう言われてまた歩き出す。

次についた所はまたメカメカしい部品が取り付けられた小部屋。

中は黒い箱がいくつも置かれておりその部屋の真ん中に一つ白い箱が置いてある。


「『刹那』、この部屋の白い箱の中に入っている物を装備しろ」


そう言われて俺は自然に身体が前へ前へと移動し白い箱を開けその中身を着る。

一見すると黒いフード付きのパーカー、それにカーゴパンツみたいな黒色のズボン、それに俺がつけていた仮面だろうか?

少し手をつけられていて形が違うがまぁ俺のつけていた仮面だ。

んで、武器はナイフか。

普通のと違うタイプのナイフだ。

現代風にいうのならスペツナズ・ナイフだ。

なんでこの時代にこんなのがあるのかなんてわからないがまぁ貰っておこう。

俺が準備が終わると同時にナメクジから次の命令が下される。


「『刹那』、次は『ドゴーンッ!』…うむ?何事だ?」


突如として爆音が響き渡る。

爆音の後はそれをかき消すようような大声と共にここからでもわかるような足音がこの国を包み込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る