第38話

「おへぇごぜぇます~」


んーむーいい天気だ。

まさに快晴である。

恒例のストレッチをしながら今日することでも考えますかね。


「1…2…3…4」


今日は…何を…しようかな?

魔術の研究か我流を練習するかレベル上げをするか。

そういえば昨日倒した継ぎ接ぎのおかげで俺のレベルは上がったかな?

すこしストレッチしながらステータスを確認しますかねぇ。


「5…6…7…8…っとふぅぅ『開示』」


職業:魔術士Lv3

職業スキル

高速展開:Lv1 並列思考:Lv2


ふむふむ?

高速展開と並列思考か。

どちらも有用性がありそうな名前ではあるな。

では早速確認していきましょうか。


高速展開:Lv1 魔法陣等を展開する際に高速で展開することが可能となる。

並列思考:Lv2 頭の中で違うことを考えやすくする。


へーなるほどねぇ。

なかなか使いやすそうなスキルだね。

そして自分自身でもスキル自体を取れそうだ。

まぁ取れそうっていうだけで厳密には何日もかかるんだろうけど。


「1…2…3…4…5…6…7…8っとこれで終わりっと」


さてストレッチが終わる前に今日の予定を決めることができなかったな。

じゃあ今日は王都の散歩でもしましょうかね。

…ところで戦争っていつ起こるんだろうか?

エルペスさんから離れてもう何日も過ぎたがいつ戦争が起きるだなんて話は一言も聞いたことがないからな。

まぁ起こるんだったら俺はすぐに逃げさせてもらいたいが多分参加することになるんだろうなぁ。


「では早速散歩でもしますか」


俺は早歩きをしながら宿を出る。

今日はさっきも言った通り快晴だ。

つまり散歩日和である。

にしても冒険者が見えないな。

いつもだったらそこら辺を歩いているんだが…ギルドがようやく注意喚起でも出したのかな?

そういえば騎士もいないな…こんな時に非番か?

なんというか王国全体がなんか辺な感じがするな。


「散歩は辞めてギルドに顔を出しにでも行くか…なんかこう言葉では言い表せないが嫌な感じがする」


そう誰が聞いているわけではないが言い俺はギルドへ足を向けて歩き出した。

どこを探しても冒険者の1人もいない明らかに何かがあったのだろう。

俺はいつのまにか走り出していた。


やっとのおもいでギルドへと着いた。

ここまでの道のりで出会ったのは住人のみ。

何も防具を身につけていない住人のみだった。

そうして俺は一息つき心臓を落ち着かせ冒険者ギルドの扉を開いた。


中はやはりというべきか誰もいない。

もぬけのからだ。

受付してくれる人さえいない。

そうして俺は…依頼の貼ってある掲示板へと歩き出した。

依頼の掲示板にはこう書いてあった。


緊急依頼

ブリチェスター帝国との戦争への参加

規定ランクは無し

報酬:富・名声・栄誉

*途中で逃げ出しても良いものとする


「…戦争か。…住人には何も言わずに始まった戦争」


そうして俺だけが戦争には参加せず残った。

まさか行かなかったばかりにこのようなことが起きてしまっていただなんて…。

『ドラゴニア』さんとエルペスさんには悪いことをした。

まさか俺が参加しないなんてな…。


そんな風に落ち込んでいると地震が起きその直後大きな音が辺りへと響き渡る。

それはとても大きな音でこちらまで風圧が飛んでくるほどの音だ。


俺は突然の大きな音に慌ててすぐさま外へ出て周りを見渡す。

門も方で黒煙が上がっている?

黒煙…ということは燃えているのか!?


今考えられるのはブリチェスター帝国からの攻撃。

つまり伏兵がこちらへと攻めているということか。

あんな大きな音を出す攻撃は物理ではまず不可能に近い、そして黒煙だから火を使う攻撃か。

ということは考えられるのは魔法か。

魔法は離れたところから発動しないと自分に攻撃の余波が当たってしまうだろうからおそらく離れたところにいるのだろう。


「今ならまだ王国の中に伏兵を入れることを防ぐことができるな…魔法陣展開!クイック!からの身体強化!」


俺は新しく手に入った並列思考を使用して考え次に発動する魔法陣を頭で描き留めておく。

考えながらももう1つの思考は身体を動かし門への最短距離を計算して動いていく。

屋根を登り走りながら移動していく。


そうして門たどり着いた。

門は全壊しておりおそらく火で焼かれたのだろう木片は黒くなっている。

幸いなことに門の周りは石作りで木のように燃えることはなかったがそれでも門を全壊する威力を持つ魔法を相手が発動してくると考えると少し気分が悪くなる。

とにかく壁の補強をしなくてはいけない。

騎士も何故か来ないしここは俺がやるしかないのだろう。


「魔法陣展開…マナバリアっと。これを応用して自分以外を対象にして例えばこの近くにある小石を対象にして…発動!」


すると壊れた壁を覆い尽くすようにして透明な魔力でできた壁が出来上がった。

とりあえずは成功だ。

後は伏兵がこの後どう行動するかによって決まるがとにかく魔法陣を壁に施していつきても良い風にしとかなくては。


「さてとここからは俺の戦争を行いましょうかねぇ」

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