第37話
「んー…どれにしようかな?」
かれこれ2時間ぐらいは考え込んでいる。
これはゲームのようなRPGの職業ではなく現実になる職業だ。
一度選んだらその職業を全うしなければならない。
いやもしかしたら職業の変更を冒険者ギルドでできるかもしれないが…。
どうするべきだろうか。
一応2つに絞り込んだ。
1つ目は魔術士。
単純に能力の向上とレベルアップによる魔術系のスキルを狙うことができる。
2つ目は研究者。
これはただ単に興味があるからだ。
説明にある秘められた能力を知ることができるという点も非常に魅力的だしな。
「さて、この2つに絞り込んだが…魔術を伸ばすかそれとも他の分野を伸ばすか…いや器用貧乏になったらまずいしここは魔術士になったほうがいいか?」
ということで魔術士を選んだ。
研究者もなかなか興味があったのだがしょうがないこれは現実なのだから気軽に職業を決めてはいけないのだ。
まぁ前世の職は適当に決めたが…。
さてこれで俺は職業が魔術士になったわけだが。
まぁ転職したばっかだからレベルが1だ。
レベルアップを今から行ってこようかな?
「ふぅではそろそろ動きますかね」
最近魔物とかと戦っていなかったしなぁ。
久しぶりに狩りでもしますかねぇ。
そう考え軽い腰を上げてドアを開け宿を出る。
外は相変わらず鎧を着込んだ騎士と冒険者で賑わっている。
しかしここ王都に元々住んでいた住人が少ないように見える。
なかなか困った物だな冒険者が多くなりすぎるというのも。
「まぁ今日も冒険者ギルドには行かないようにしようかな」
魔物を狩ったら魔物の素材を得ることができるがそれを売るための冒険者ギルドに行けないということは収益がないということだ。
はぁ全くこれじゃ依頼も受けれないからランクも上がらない。
高ランクの奴らは下の人のことを考えてから行動してもらいたいものだな。
そんなことを考えながら門を抜けていつもの場所へ移動する。
王国からは木が邪魔になって見えないようになっているしここではちょっと高いCランクの魔物が出てくる場所だが俺の実力的にはピッタリな場所だ。
まぁ出てくる魔物の中には俺にとって天敵となる奴もいるが…それさえ避けたら非常に良い場所だ。
「さてと早速狩りを開始しますかねぇ」
周りを見渡してから木に登る。
鳥系の魔物がいたら即死するがまぁいたらいたで魔術をかませば大丈夫だろう。
「よいしょよいしょ…ふぅ到着と」
さてと何か魔物いるかな?
ふむふむなるほどにゃるほど?
えーとカバ系魔物が4体、猪系魔物が2体あとは…。
なんか継ぎ接ぎで見たことのない魔物が3体いるな。
なんというか不気味な感じだし皮膚の部分が布になっているのかな?
そして姿的にはケンタウロスに似てる。
まぁくっきりと身体の色が分かれているからなんというかあまりじっとは見たくない感じだが。
「なんつーか人形みたいな感じで不気味だなぁ」
そんな言葉を述べてから頭の中で魔法陣を描く。
とても良く燃やせそうだが燃やしたら後始末が面倒だから属性は…風か氷かな?
いや水でもいいな。
まぁとりあえず全部やりますか。
「魔法陣展開からのウィンドボール、アイスボール、ウォーターボール」
3つの魔法陣からそれぞれボールが出てきて継ぎ接ぎの魔物へと当たっていく。
ウィンドボールとアイスボールに当たった奴はそのまま腹を抉って吹き飛ばしていったがウォーターボールに当たった奴は濡れただけでそのまま立っている。
やっぱり水だからなぁ。
じゃあ継ぎ接ぎ魔物は仲間が倒れたことを見て棒立ちしているからそのまま倒させてもらいますかね。
「魔法陣展開…エアーカッター」
魔法陣から放たれた薄緑色の軌跡は継ぎ接ぎ魔物の首を斬り落としていく。
すると首から透明な液体を撒き散らしながら倒れた。
やっぱり普通の生き物じゃ無いんじゃ無いだろうかあれ?
だって出ているのが明らかに透明だし。
「いや確か南極だか北極だかの魚が透明な血をしているんだったっけか?」
なら生き物に分類されるのかな?
まぁ一応討伐は完了したということでいいかな?
…あいつから剥ぎ取れるところなんてあるのかなぁ…。
いやいやあるにしろないにしろ討伐した奴は剥ぎ取りが終わったら埋めて腐らないようにしなくちゃいけないな。
~幼女後処理中~
「ふぅ土の中に入れたことだし帰るかな」
今日はこれでお終いにしよう。
そろそろ日が傾いてきたし。
うーむやっぱり今日は寝過ぎてしまったか。
この世界でまだ時計を見たことがないから時間がわからないんだよなぁ。
つまり2時間作業したと思っても実は3時間作業していたなんてこともあるのだ。
この世界の住人はどうやって時間を見ているんだろうか。
「まぁいいや帰るか」
~幼女帰宅中~
「宿にやっと着いたぜぇ…」
はぁぁぁマジで酒場はうるさいなぁ。
お腹が空いたから途中にあるいつも行っている酒場に行こうと思ったが今日は諦めた。
何故なら人がいっぱいいたからだ。
全くあんなに人気になってしまって…俺が初めて行った時は閑古鳥が鳴いていたというのに。
「何か食べる物持ってたっけかなぁ?」
虚空庫を開けて食べ物を探す。
にしても本当に冒険者が増えたなぁ。
帰るときにも見たが宿を取れない人が多かったからそこら辺の道端で布にくるまっている人もいたな。
「食べられる物無いなぁ…魔石…前食べた時何故か美味しかったんだよなぁ」
虚空庫から今日狩った魔物の魔石を取り出しておもむろに口に入れ込む。
なんとも不思議な味だが不味くは無いが前食べた魔石ほどでは無い。
「まぁあいつ見るからに美味しくなさそうだったからなぁ。ふぁぁぁ…寝よ」
明日もきっといい日になるよね?
そんなこと確定してあるわけないがそんなことを考えながら寝ることにした。
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