第25話
「ガァァァァァァァッ!」
俺は自分に喝を入れ声を出し叫びながら走り出す。
相手はまだ、余裕を見せ集団の中から1人が出てきて大きな斧を構える。
子供2人ぐらい1人で十分というわけか。
あぁ、アイツは俺の家を壊したやつか。
その下卑た顔を、こちらを舐め腐った顔を見るとふつふつと怒りが湧いて来る。
「殺すッ!魔法陣展開!『ブースト』からの『クイック』!」
右手で魔法陣を素早く展開し魔術を発動させる。
コレにより俺の腕力と俊敏を強化する。
そして間近まで近づき大斧を横に薙いだ時を狙いバックステップで避け一気に近づく。
懐へと潜り込みナイフで横腹を斬り裂く。
「がッ!?」
大斧の野郎は慌てて前に大斧を構えるが素早く動き足首を斬りそのまま反対の足も斬り裂き転ばせそのまま首を切るため首元へと巨体を踏みながら近づき首へナイフを突き刺す。
ナイフに纏わせた電気は大斧を手から外れ落ちそのまま刺し続け…そして絶命した。
…初めてこの手で人を殺した。
ハハハ?
そんなことはどうでもいい。
そんなことは今はどうでもいい。
今はコイツらを殺すことだけに集中していればいいんだ…。
そう、執着して、殺し続ければいいんだ。
目の前が赤く染まる。
あぁそうか俺がナイフをコイツから抜いたからか。
…数は、2、4、6、8…。
大体14人か面白いやれるところまでやってやろう。
俺はナイフを構えて笑う。
コワガルナ、オソレルナ、ワラエ、ワライツヅケロ、ダッテ、オレハコクフクシタノダカラ。
コレより怖いことは体験した時がある。
あれより今は怖いか?
否だ。
断じて否だ。
ならどうするか。
答えは単純明快、笑いながら、怖がることなくアイツらをヤればいいだけだ。
俺は走り出し身体強化を身体にかける。
アイツらも俺を見て察したのかそれぞれが武器を構えてこちらへと走って来る。
「ハハハハ魔法陣展開!『オーバーブースト』」
『オーバーブースト』により『ブースト』よりも高い俊敏と腕力を手に入れる。
そのまま武器を避けて避けて避けて足を斬り裂き首を斬る。
その度に俺の身体と服は赤へと染まってくが関係ない。
俺はただ殺す、それだけを考える。
そうして3人ぐらい斬り殺すとようやくアイツらも理解したのか動きが鈍くなり代わりに首元を守るような動きになった。
だが関係ない。
俺の横から火の矢が飛んできて1人に当たり身体ごと燃えていく。
その断末魔は夜の闇を引っ掻くようにして辺りに響きアイツらは一歩後ろへ後退りした。
その無様な様子を見過ごすわけなく俺は走り出し足首を斬り裂く。
そして後ろからは火の矢が俺に当たらないように飛んでいき大人の身体を燃やしていく。
時には魔術で攻撃し時にナイフで斬り続け着々と数を減らしていくが一向に数が減らない。
1人倒す時間にアイツらは2人増えていく。
キリがない。
俺の体力ももはや限界だ。
長い時間腕を振りまわし肉を斬り裂きMPをほとんどバフに使い身体強化までしたおかげで大量にあったMPはもう少なくなり身体強化も時間がたつごとに弱くなりもうバフなしで戦うしか無くなっている。
そのせいで避けれた攻撃は避けることができなくなり身体に傷が増えていく。
『治癒の身体』で身体の傷はなくなり血を流さずにすむこそすれども体力までは回復はしない。
…遠くから「坊っちゃんを返してもらうぞ!」という声と金属音が多数聞こえて来るが、この野郎共も数が数なのでこちらへと近づくことが難しそうだ。
いつまで耐えればいいのだろうか。
もう貴族服はMPが枯渇して横たわっている。
…どうするべきか?
このままコイツを相手してたら死んでしまうだろう。
何か打開する方法が必要だ。
あの騎士さえこちらにくれば助かるか?
なら、俺がこちらに来るための道を作ればいいか。
「今持てる全MPを手に集中…我流戦闘術初ノ術『崩撃』!」
そう言い放ち縦に振ったナイフは真っ正面に空間を斬り大地を崩れるほどの斬撃を生み出し人を斬り殺していく。
その崩壊から生まれる衝撃波は正面に打ち出され、地を崩しながら敵を塵に還していく。
我流戦闘術、それはあくまでも戦闘術。
剣術ならば剣を使い弓術ならば弓を使った攻撃だ。
俺が使うのは戦闘術。
戦闘さえ出来ればその効果を発揮する。
そこに武器は指定してなく例え使う武器がナイフでもそれは効果を発揮する。
そうしてなんとか騎士に届く程の道を作り出した俺はMPを使い果たし体力を使い果たし目の前が真っ暗になるのを知覚しながら前に倒れていく。
最後に耳にした言葉は「よくやった」というもう数年も聞いていない誰かに褒められるという言葉だった。
その言葉を聞き俺は最後に笑った。
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