第26話
「…どこ？ここ」
…なんで俺は寝かされているんだ？
つーかここはどこだ？
見る限り病室っぽいというのがここの特徴として挙げられるが…。
しばらくしてようやく昨日というか眠る前の記憶が戻ってきた。
あのまま俺は気絶したのか。
騎士の人達に感謝だな。
何せ俺はスラムの子供だ。
そんな俺をこんな病室まで運んでくれるんだからな。
「身体に異常は…左腕が動かないな。崩撃によって完全に痛めたなこりゃ」
あの時放った崩撃は全MPをかけた一撃だった。
それに腕も限界だったからそのせいで痛めたんだろうな。
うーむ『治癒の身体』で回復をしたいが戦闘の時にもう使い切ってしまったからなぁ。
これから1週間経たなきゃ回復できないとは。
「んで、ここどこ？」
そうこうしているとドアの方が開きそこからメイド服を着た若い女性が来た。
そして俺を見るなり驚いた表情をして…逃げた。
「…なぜ？なんでどっかいっちゃうの？おーいなぜ逃げるんですか？」
とにかくここで待つことにしようではないか。
なに、すぐ誰か来るはずだ。
待つこと20分ぐらい…まだかなぁと待ちぼうけしているとドアが荒々しく開きそこから男性が3人程きた。
ついその音に身体が飛び跳ねてしまう。
だ、だけど俺はぜ、全然ビビってなんかないしぃ？
と、とにかく左から若い、中年っぽい？、若いの順番だな。
そんなことは考えていると中年っぽい男性が俺に向かって話しかけてきた。
「起きたか？はじめまして恩人よ。私の名は、レイアン・アマガル・フォン・レインバートだ。アマガル家の当主にしてレインバート領をおさめる者だ。君は？」
「は、はい！お、私の名前はレナです」
そういうとレイアンさんは少し微笑を浮かべた後足を一歩後ろに下げ頭を下げた。
「この度、息子のアルキアン・アマガルを賊から守ってもらったこと感謝する」
「あ、あの！頭など下げないでください！です」
な、なんで頭下げてんの！？
こういうのって確か貴族は頭を下げてはいけないんじゃなかったっけ？
「それでは積もる話はここまでにしてまずは一緒に食事でもいかがですか？」
「は、はい」
そうして俺はこの貴族服…ではなくアルキアンの父であるレイアンさんに連れられっていうか両側にいる護衛の人にいわゆるお姫様抱っこされながら移動した。
この体制非常に恥ずかしい…。
そして着いたのは長い机が置いてあるザ・貴族と言えるような食堂だった。
出されている食べ物はどれもスラムで過ごしてというか草しか食ってこなかった俺にとってはご馳走だ。
食べ物を食べてていいよとレイアンさんに言われたので俺は遠い昔に習ったテーブルマナーを思い出しながら食べた。
その後はレイアンさんと話をした。
例えばアルキアンを襲った奴らは実は他国から依頼を受けていたとかその他国が変な行動をしているため偵察を送っただのなんだのまぁ色々なことを聞き出した。
後は前に俺がいた街の門の前に他国の工作員が武器も何もつけないで門の近くに縛られて居たのが見つけられてその他国を徹底的に調査することにしただのなんだの。
…すいません。
多分それやったの俺です。
あとどうやら俺は3日間も眠っていたらしい。
あまりにも疲労していてあの街では腕を治すことができないらしいので自分の領であるレインバート領へと戻り治療を行ってもらったらしい。
マジ感謝ですなぁ。
この腕は後1日もすれば痛みも引いて前のように動かせるようになるらしい。
…ところで今日からどこに住もうか。
もう家は壊されてしまったしここの街にはスラムもないらしいので野宿もできない。
そういう話をレイアンに話すとこの街一番の宿をとってもらえることになった。
「それではこれまでありがとうございました」
「あぁまた機会があったら来てくれよ」
そう言い俺はこの街レインバート領の中心、レイン街の宿を目指して歩くのだった。
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