第22話

俺は勇気を出してカウンターに座っている紺色の髪をした男性の店主に話しかけた。


「あ、あのすみません。『スキル屋』とはスキルを売ってくれるのでしょうか?」


「うん?あぁそうだよ。えーと…少年?ここ『スキル屋』ではこの俺、コメルサンさんが市場で仕入れたスキルの宝玉を売り捌いているのさ。そこにある棚に置かれているカードを持ってきてくれればその相場と在庫を教えてやるからなんか欲しいもんがあったら持ってきな」


「は、はい…」


俺はそう言い棚の場所へ戻った。

さて、ここまできて何も買わないのは気まずいから何か気になる物でも見て気に入った物でも買っていくかな。

相場知らんけども。


…幼女拝見中…


ふーむ…いろんなスキルが置いているなぁ。

実用的なスキルからネタみたいなスキルまで幅広いスキルが置いてある。

例えば…この『一発芸』なんてスキルや『仮病』、『ものまね』なんていうスキルがある。

まぁそういうスキルも使い方次第で化けるのは定番だからバカにできないのが現実なんだが。


「ん?コレは…『祝福』?なんというかコレにしようかな?効果が良くわからないけど」


特に欲しいものがないし、他のスキルは自分でも入手ができそうだしな。

明らかに良くわからないスキルを買っておいた方がいいだろう。

んじゃカウンターに行きますかね。


「すいません、コレお願いします」


「あぁ。『祝福』ねぇ。これの在庫はまだ3個程あった筈だ。んーと効果は確か…神を信仰している時に特定のステータスを上昇させるんだったっけか。神官が主に買っていくんだが少年に必要か?」


「あ、すいません選び直します…」


…俺にはこのスキルは必要なさそうだ。

他だ!他!なんか良さそうなのは…コレとかどうだ?

その名も『反射』、なんか防御系のスキルっぽいし魔法とか打ち返してくれそうだから選出した。


「コレお願いします」


「ほぅ『反射』か。在庫はラスト1個あるな。効果は、魔力を使った攻撃などを反射することができるかも?とかいうなんというか運頼みなスキルだな。相場は『反射』が発動する確率がクッソ低いからっていう理由で銀貨5ってところかな?」


俺は少し考えた結果買うことを決め袋から銀貨を5枚取り出しコメルサンさんに渡した。

コメルサンさんは指で「1.2.3.4.5」と数えてからカウンターの引き出しの中に入れそのまま店の奥に行き小さな箱を持ってきた。


「コレの中にはスキルの宝玉が入っている。ここでスキルを獲得していくか?」


「う、うん」


「よし、ではこのスキルの宝玉を噛み砕け」


そう言いコメルサンさんは、小さな箱の中に仕舞われたビー玉サイズの玉を渡してきた。

え?噛み砕くのこれ?

つーかコレが宝玉なのか?


「コレが宝玉?」


「ん?あぁ見たことねぇのか。そうコレが宝玉よぅ。ごく稀に魔物とかから取れるんだよ」


俺は「へー」と言いつつ宝玉を口に入れた。

…噛み砕けん。

がぁくそッ硬てぇぞコレ。


「ハハハハハ、硬いか?まぁそのまま飲み込む方が少年にはやりやすいか?」


「初めからそう言えよぉ」


前にいるコメルサンさんはそう笑いながら「ごめんな」と手を合わせた。

はぁ全く…というか俺の持っているこのスライムからドロップしたビー玉もスキルの宝玉なんだなぁ。

ここから出たら飲み込むか。

それでは帰りますかね。


「それでは、また」


「おぅ、少年迷わず帰れよ。もう暗いからな」


そう言われながら俺は『スキル屋』を後にした。

周りはもう真っ暗になっている。

太陽はすっかり姿を隠し真上には前世よりも大きく見える月が上から見下ろしていた。


「さて、スライムからドロップした宝玉を食べてと」


そう言い俺は宝玉を口に入れ飲み込んだ。

ステータスのスキル欄は変わっているかな?


「確認しますかねぇ『開示』!」


スキル

混食:Lv4 執念:Lv8 気配遮断:Lv Max

採集:Lv7 精神耐性:Lv Max 畏怖耐性:Lv Max

病気耐性:Lv3 吸収強化:Lv2 身体操作:Lv4

自動回復:Lv7 治癒の身体:Lv6 精神統一:Lv9

危険察知:Lv5 反射:Lv1 魔の理解:Lvー

ユニークスキル

我流戦闘術:Lvー 喰の欲望:Lvー


反射:Lv1 魔力を使った攻撃を10分の1の確率で一部跳ね返すことができる。

喰の欲望:Lvー 我は全てを喰らい成長していく。その持ち主も喰らい尽くし全てを喰らい尽くした先で空腹という名の概念となる。


…まぁ『反射』は予想通りのスキル効果だがユニークスキル『喰の欲望』は…なんだコレ?

なんというか厨二設定っぽいなぁ。

…とりあえず帰るとするか。

明日のことは明日の俺に任せるとしよう。

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