第20話

「さてとまずはスラムから抜けなきゃいけないな」


ここからまっすぐに突き進んでいけば西の冒険者通りに出るかな?

まぁそこには商人が商売などやって賑わっているから俺でも目立つなんてことないだろう。

まぁもしスラムの奴だとバレてもいちゃもんつけられるだけだろうし。


「ここから北だからこっちに進めばいいのか」


…幼女移動中…


「お、おぉぉぉ」


ようやく通りに出た。

周りには人!獣人!エルフ!そしてラノベで見た屋台!

いやぁいい眺めだ…まさにこれこそファンタジーだぜ…。

そうだよなぁ俺は戦うなんて野蛮なこととは離れたことをして暮らしたかったんだよなぁ。

何だったら薬草からポーション作ってそれを売って暮らすっていうやり方でも良いのだがな。


では、早速冒険者ギルドへ行きますかね。

周りの服装を見ながら移動する。

甲冑のような物を着ながら歩く人、身長よりもでかい大剣や盾を持つ大男、俺だったら絶対履きたくないビキニアーマーを着ながら歩く女の人。

もし、俺が仮面を外していたら目がキラキラしていただろう。


「…少し屋台を見ながらでもいいか」


まだ時間には余裕がある。

というか登録なんていつでもいい暇な時にするぐらいで良いと思っている。


少し屋台を見て回りある屋台が目についた。

看板には『仮面屋』と書かれていた。

…見るだけだ、そう見るだけ。


「こ、こんにちは?」


「あ?あぁこんちは…仮面買うかい?うーんっと…仮面っ子?」


屋台の店主がそう言い咄嗟に首を振った。

それが店主には滑稽に見えたのだろう。

店主は苦笑を漏らした。


「み、見るだけで…」


がぁぁぁ!

クソォ、こんなに会話が下手になっていたとは思わなかったぜ。

これは何かリハビリが必要か?

ん?これは何だろうか?

俺は『仮面屋』の売っている物の中でひとつだけ異様な仮面を見つけた。

なんというか魔力…というかなんというかこう、言葉では言い表せない何かだ。

俺はそれを指差しながら言った。


「店主さん、これ、何?」


「ん?あぁこれはなまだ鑑定に出していない未鑑定品の仮面だ。一応遺跡から発掘されたアーティファクトだがまぁコレは良くてもE級品ぐらいの奴だろうな」


「E級品…とは?」


「あ?知らねぇのか?まぁなんだ、遺跡から発掘されたアーティファクトの階位だ。それこそS級品ともなると神遺物と言われるぐらいになる。まぁ遺跡を探索する探索者の夢の一品だよなぁ。まぁコレは下から2番目のE級品だと思うが」


なるほど?遺跡というのがあるのか。

ところでコレを買い取るということはできるのかな?

いやしかしここで無駄な出費は避けたいなぁ。


「おい?仮面っ子これを必死になって見ているが買い取りたいのか?」


「う、うん」


「…しゃぁねぇな。どうせこんなE級品なんて売れねぇだろうし特別にそのつけている仮面と引き換えに売ってやるよ、その仮面も不恰好だが物好きの野郎には売れるだろうからな」


「わ、わかりました。ありがとうございます」


俺は言われたままに着けている仮面を外して店主の持っている仮面を着けた。

結構アレにも自分で作ったから愛着はあったんだが勢いに乗って交換しちゃったなぁ…。

けどコレも結構カッコいいし交換してよかった…のかな?


「んし、コレでいいか。つーかお前女だったんだな」


「ッ!…ん。ありがとう」


「おぉ声が変わったなぁ。コレがこの仮面の効果ってわけか?さしずめ『変声』と言ったところか」


どうやら俺の声が変わったらしい。

自分では良くわからないがな。


そうして俺は『仮面屋』の顔に仮面をかぶっているおじさんの元から離れ冒険者ギルドを探しながら歩き出した。

にしても本当に会話ができなくなっているな。

ただの会話もままならないとは…。

まぁ社畜時代の時もあまり喋る方ではなかったがな。


「んぅ?あっ!あれが冒険者ギルドかな?看板にも書いてあるし」


歩いていくと石で作られた建物が見えてきた。

看板には『冒険者ギルド』と書かれており周りに多くの冒険者と見られる武装集団がいる。

中には子供のような人物もいるから俺が入っても場違いみたいなことにはならないだろうと思った。


俺はその集団を掻い潜りギルドへと入っていった。

中はまぁ酒場みたいな感じかな?

丸いテーブルがあってそこで酒を煽るおじさんや青年がいる。

こんな昼間に酒を飲むのか…。

壁際には掲示板があり最近のニュース?だろうかまぁ広告のような貼り紙が貼っている。

対する反対には冒険者が集まっている依頼板がありそこにはさまざまな紙が貼られている。

そして入り口の真正面の壁際には受付があり俺はそこへと歩いて移動した。


もちろん受付するのは女の人だ。

横には目つきの悪い金髪おじさんがいるが…まぁ当然のごとくスルーする。


「こ、こんにちは…」


「こんにちは、依頼ですか?それとも登録ですか?」


「あ、登録です…」


受付をしてくれる女の人は俺が登録すると言うと机の上に書類を出した。

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