第18話
「さてと、まぁどうしますかねぇ?」
あいつとの距離は目測で40mくらいかな?
だとすると残された時間は少なくて5秒ぐらい。
1秒で魔法陣を展開して『エアーカッター』をやって1.5秒で約3秒。
いやいや『エアーカッター』程度じゃ倒せないかもしれないな。
「…あの方法でいくか」
俺は手を地面につける。
思い描くのは風のシンボル。
出来るだけ原型を残して適当に早く頭の中で思い描く。
「魔法陣展開!『ウィンドボール』発射!」
発射と俺が言葉を発した時魔術は魔法陣から発動される。
そして行き場のない魔術で出来た風の玉は地面へ当たり周辺に風圧を起こす。
「からの自分の身体へと…魔法陣展開!『重力低下』発動!」
この魔術は対象を何でも文字通り重力を低下させるものだ。
普通に物を軽くするだけだったら『軽量化』を使って物の重さを軽くするのだが今回は自分の重さではなく自分にかかる重力を少しなくすため『重力低下』を選んだ。
まぁともかくコレで俺は擬似的に重力を低下した状態で風圧の跳ね返りによる一時的な飛行が可能というわけだ。
「うぉぉぉ!こぇぇぇぇッ!」
俺氏、高所恐怖症也。
下見てるが今までにないくらい高い。
早く地面に帰りたいよぉぉぉぉ。
『畏怖耐性』があっても高所恐怖症までは耐えることができないのか。
早くスキルのレベルを上げなければ…。
「ッ!危ねぇ!」
俺に届かないからって触手を伸ばしてくるんじゃない!
空中では回避があまり出来ないんだからな。
チクショぉ、あいつ水玉も打ってきやがる。
俺はあいつが打ってくる水玉を身体をひるがえして避けていく。
そして避けていく中で頭の中に魔法陣のシンボルとそれに合わさる魔術の属性を思い描く。
少ないMPでも使える魔術は少ないが支援魔術の混合による重複と多重による数の暴力。
そして属性と属性を重ね合わせた合成。
コレをうまく使うことができればこの状況を打破することは十分に可能だ。
しかし俺が今まで使ってきたのは練習の際に使った『重複魔術』とスライムで試した『多重魔術』だ。
そして論文の中では最も理解することが難しかった『合成魔術』はまだ使ったことが無い。
もし『合成魔術』を使っても発動しないかもしれない。
そうなった場合はそこで終わりだ。
「しかし重複と多重よりも成功すれば破壊力がある合成魔術に俺は賭けようではないか」
そう、男はいつでも浪漫を抱いて生きていかねば面白く無いからな。
まぁもう男では無いがな。
「ふぅ」と一息つき手をあいつへと突き出す。
そして魔術を言い放つ。
「…魔法陣展開」
練習の際に出した『重複魔術』よりも複雑に、かつ『多重魔術』より早く丁寧に。
何気なく、落ち着いて、敵から目を離さずに…。
「氷と電気を合わせた魔術…『降雹雷花』発動」
俺が発動と言った時、魔術は発動する。
発動した魔法陣から無数の雹が放たれスライムへと激突する。
大きさは小石程度で正直当たったとしても良いダメージは与えることはできないだろう。
だがこの魔術の真骨頂は発動した後の残った雹にある。
「ッ!!」
下の地面が一瞬にして光に包まれる。
何故光っているのかというと電気による光だ。
あのいっぱい出した雹のひとつひとつには微量だが電気が含まれるようになっている。
ひとつだけでは静電気程度のとても弱い電撃だが数が多ければ多いほど電気の威力が多くなるというわけだ。
まぁ欠点を上げるとするならば仲間と一緒の時は使えないという点だな。
後魔法陣を展開するまで時間がかかる。
今は空にいるという最大のアドバンテージがあるからあいつの攻撃は当たらなくて済んだがそうでなければ発動している時に攻撃されて死んでしまうだろう。
それとこの魔術は空にいるからできることだもし地面でやったら間違いなく自分にも当たる。
「さて、そろそろ電気も引けてきたな」
あいつはちゃんと討伐されてくれただろうか?
水蒸気によりあまり見えないが動いていないように見えるな。
調整してMPは残り1で残して気絶しない程度にはしているがこの状態はキツイな。
つーかなんか眠い。
っとそろそろ水蒸気も晴れてきたな。
そして俺も地面に落ちる。
「ギャァァァッ!」
ヒィィィィィこえぇぇぇぇ、もう二度と乗らんからな。
グェッ…ボキッて音したぁ。
こりゃぁ折れたな。
さて、あいつは…うんちゃんと地面に染み込んでいるな。
流石にあの電撃には耐えられなかったか。
まぁ身体の中まで雹が入ってそこから身体を貫きながら痺れる電撃を浴びたら流石に討伐されてくれるか。
んーと残ったのは…混濁した黒っぽい色をしたビー玉かな?
「まぁいいやコレを持って帰ろう…あぁ疲れた帰ったら回復魔術を探して腕治さなくちゃなぁ」
あぁその前にMPを回復させなきゃな。
ほんと今日はついてないなぁ。
*新しく使った魔術一覧*
重力低下:対象の重力を低下させる。
降雹雷花:小石程の微量の電気が入った雹を降らせ一定時間後に雹の中の電気を近くの雹へと繋げる性質を持つ。量がある程威力が高まる。自爆注意魔術の一つ。なおオリジナルである。
「というか俺が使う『重複魔術』、『多重魔術』、『合成魔術』にはもともと技名なんてないから自分で勝手に作って言っているだけなんだがな?コラ!そこッ!厨二病とか言うなッ!」
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