第39話 盾
ゴブゴロウは今、鹿と戦っている。
狼達を使って、追い詰め、包囲し、ゴブゴロウは一対一のガチンコ勝負の真っ最中だ。
鹿の角が燃え始め、
『火の
ゴブゴロウの盾が魔力の輝きを放ち、
『火の
駆け出したゴブゴロウの槍が紅く揺めき、鹿の首元を狙うと、鹿はスレスレを躱し、カウンターの角でゴブゴロウに迫ろうと目が光った。
バン!と炸裂音が響き、鹿は躱した筈の槍から、『魔弾』の衝撃を受け、首元から血を流す。
ゴブゴロウは槍をくるりと回し、角と角の間を正確に打ち抜き、更に鹿の眉間を貫いた。
ゴブゴロウの盾、そして槍が魔力を帯びて光っている。しかし、すぐにその光は消えてしまう。
ゴブゴロウは盾に槍をしまう。そして大きな果実を取り出して水分を補給すると、種だけを盾にしまう。
盾の裏側がマジックバックの役割をしている。ゴブゴロウが魔力を込めた物は、アンカーであるゴブシロウの胸当の近くに収納される。
収納内容は投げ槍が百本程、果実無数、私物少々、そして新しいゴブゴロウの武器である槍だ。先端を加工し、
『火の
盾の裏側に横30センチ縦50センチのプレートが仕込んであり、その範囲を潜れる物は出し入れ出来る。
俺のマジックバックからゴブシロウの胸当の辺りに物資は送れるが、ゴブゴロウは俺のマジックバックから全ての物は取り出せない。何がなんだか物の判別が出来ないからだ。
ゴブゴロウの身体は大きく成長した。
並のホブゴブリン位の背丈にがっしりとした強靭な筋肉が、惚れ惚れするバランスでついている。
鹿はそのゴブゴロウと同じ高さに目があり、角はその上、人の掌の様な形で左右に大きく広がっていた。
一頭で、うろついていたが、その鹿は魔法を撃ってきた。普通に見かける鹿がこれなんだから、火魔法の適性はかなり高そうだ。
狼達は感覚が鋭く、かなり広範囲の索敵が出来るのだが、全ての狼と絆を結ぶ俺は、ゴブイチに抱っこされ、撫でられ、吸われながらも、仲間の感覚を共有できる。
その距離は俺の千里眼の範囲を越えてさえ有効だ。仲間をマイルストーンとする事で伸ばす事もできる。
俺は只、ゴブイチに抱っこされているのではない。只の鼻のデカい真っ白な子どもの狼ではないのだ。傍目からは温かい目で見守られているが、結構頑張っている。
索敵で感じる敵を分析して、単体の敵を仕留めさせ、上位種や群れを避けさせた。
武器や防具を新調し、マジックバックの作成にまで漕ぎ着けたのだ。
褒めて欲しいが、
絶えずゴブイチにヨシヨシされているので、
なんだか訳がわからなくなってしまう。
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