わたしとふつう。

@noyadonihc

第1話

 わたしは今日も考えている。男女の友情は成立するのか否か。

 例えば親友と呼ばれる間柄の男女が恋愛に発展したら、具体的には何が変わるのだろう。周りへの紹介の仕方?肉体的な関係をもつこと?セフレやソフレなどというワードが誕生し、さまざまな付き合い方がありふれている現代で、たったそれだけのために関係性を変える必要はあるのだろうか。そもそもいつからお互いを男女と認識していたのだろう。初めから?いや途中で何かが芽生えたのか。と、ここまで考えたところでまたふと我に返る。ワンピースの作者尾田栄一郎先生も作中で『恋はいつでもハリケーン』と言っていたではないか。きっとその男女にとってはハリケーンだったに違いない。

 無論、友情から始まる恋もあるという。一緒にいる時間が長くなるにつれて、はたまた相手の恋愛相談にのっているうちに、なんてこともあるらしい。大人であればお酒の勢いで、というパターンも珍しくはないだろう。でもいずれにせよそれは、お互いが、男女として相手を意識している前提で起こりうる話ではないか。

 わたしには今親友と呼べる異性が2人いる。ちなみに言っておくとわたしの恋愛のいちばんはじめの基準は本能的に受け付けられるか否かである。これは本当に曖昧であるが正確な基準で、たとえ相手がタイタニックの頃のレオナルド・ディカプリオや生前のオードリー・ヘップバーンであっても本能的に無理だとわたしの脳が判断してしまえばそれまでなのである。

 わたしはその2人の親友を異性として意識したことがない。もちろん本能的に無理なわけではない。人として尊敬している。お互いのことをよくわかっているし気軽に連絡も取れる。なぜ親友と呼べるほど密な間柄になっておきながら恋愛には発展していないのだろう。どちらかが"その気"になれば何かが変わるのだろうか。

 今わたしと親友の間には既に友情が成立している。それならば男女の友情は成立するという結論に至るが、本当にそうなのだろうか。お互いがたまたま"その気"になっていないだけでは?もしかしたら今の関係が心地よすぎて、わざわざ変化を求めていないだけかもしれない。「自分は恋愛対象に入っているのか」と相手に尋ねること自体は容易であるが、この質問が2人の関係性に何かしらの変化をもたらしてしまうことは自明である。

 男女の友情は成立するのか否か。わたしは今日も考えている。

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