第5話

「私はもうちょっといようかな...。

ほら、せっかくのお料理だし、、

残すのはシェフの方に悪いかなって思って...」


ビビった。


俺はてっきり、

残されたのは俺一人だし、

その俺は、イケメンではないし。

で、さらに俺は話も面白くないし、で。


俺といてもつまらないと思うんだが、

不思議なことに、


「一緒に食べない?」


と言われた。


つまりな。席を立ちかけた俺だが

もう一度座り直すように言われたんだ。


「あ、う、うん」


俺は母子家庭の貧乏育ちなため、

食べ残しとはいえ、なんかもったいなくなって。彼女と一緒に黙々と食べることにした。


会話なく。


空気がやたらと重かった。


それでも、料理は美味い。


一時間くらい経過しただろうか。


二人して残さず綺麗に食べた。

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