第9.5話 ゴルグ復活 恐怖の始まり

 ロンガスタ鉱脈が破壊され、人々は恐怖の渦に陥った。


 ワルヴォース宮殿

 そこにはヒューマンまたはヒューマンと友好関係のあるファンタジーがいた。

 彼らは古の鉱脈と呼ばれるロンガスタ鉱脈が消失したため、現在会議を開いている。

 「ロンガスタ鉱脈が消し飛んだだと。」

 「魔鉱石の採掘が難化したぞ。」

 「まず原因を調べろ。」

 ワルヴォース宮殿は、聖の力を持った者だけが入ることを許可される場。

 神の聖域といえばいいものである。

 「大体あそこには邪神を封印しているのだぞ。」

 「ひとまず邪神の状況を調べなければ。」

 そこにいた老人は水晶玉を取り出し、ロンガスタ鉱脈の現状を映し出した。

 「なんと・・・・」

 老人は言葉を失う。

 山は半壊しており、邪神が封印されし所は既にもぬけの殻であったからだ。

 会議参加者の全員はただその現状を見るしか無かったのだ。

 「おや、貴様らは我の復活を楽しみにしておったのか。まさか驚きすぎて声も出ずとは。」

 神の聖域

 外には魔轟神ゴルグの姿がそこにあった。

 「貴様、何故ここにいる。」

 「何を言う。我は神であり、魔王であるぞ。聖の力なんぞ、豆鉄砲と同じなのだよ。」

 全員ゴルグを目の前にし、足が動かず、ただただ姿を見るしか無かった。

 「まあ我がこのワルヴォース宮殿を乗っ取るのもいいが、あやつとは戦う気がない。それに、我も復活したばかりだからな。正直取り戻せていないのだよ。」

 まだ本気ではない?

 ならやつは本気でなくとも、邪神の弱点である聖の力が効かないのか。

 なら、やつは一体どこまでの実力を持っているのだ。

 「しかしなんとも言えぬな。法皇にエルフの族長、亜人の英雄に精霊女王、それと太古の預言者か。確かに、我以外の魔人もしくは悪魔では歯が立たないのであろうが、我からすればただの虫だ。」

 「だからなんだ。」

 1人の男は大剣をもち、ゴルグを睨む。

 「もしや挑む気か。亜人の英雄。蜘蛛の亜人が。」

 「ああそうだよ。貴様に従うわけねーだろ。」

 [スキル 革命魂が発動。 攻撃力 魔法攻撃力が100000000になります。また、1秒間につき、全ステータスが10000上がります。]

 「なるほど、そして貴様の固有スキルグール化で、基礎値の上昇。そして退魔の剣でダメージを上げるのか。」

 「ああそうさ、それで貴様が死ぬなら俺は命だってかけるぜ。」

 亜人の英雄は腕から蜘蛛の足を生やし、糸で防御力の高い装備を作る。

 「これで死ぬがいい、」

 [スキル苛酷発動。HPを1にし、ダメージ量を10倍にします。]

 [グール化により、HPが減った分ダメージにのせます。]

 「これで終わりだー。」

 亜人の英雄は剣を振りかざした。

 しかし退魔の剣は砕かれ、ゴルグは亜人の英雄を睨んだ。

 その瞬間、亜人の英雄から大量の血が溢れ出た。

 「どうやらまだ理解していないようだな。」

 [スキル魔轟の閃きが発動。マルス・スタロックを死亡させました。]

 亜人の英雄マルスは地面に落ちた。

 ゴルグ以外は現状の彼の姿をまだ認めたくなかった。

 「安心しろ。奴はもう当分逆らわない。」

 [スキル五獄の禁術 聖である、死者蘇生を発動。]

 ゴルグがマルスに手を出すと、マルスの傷は完治され、意識を取り戻した。

 「あれ。おい、何呆然と立ってんだ。」

 「おい。最初の一言はそれか。」

 マルスは恐怖にのまれた。

 さっきの死がフラッシュバックしたかのように思い出した。

 マルスはゴルグを見る。

 「まさか、俺は死んだのか。」

 「ああ、そして奴らがただ立っておる証拠さ。」

 ゴルグは指さす。

 「あれは・・・・五獄の禁術。」

 「しかも聖の力だと。」

 私達は認識が甘かった。

 邪神は聖の力でしか倒せないと思っていた。

 だが間違いだった。

 奴は邪神ではない。

 奴は・・・・神そのものだ。

 聖なる神でもあり、邪悪の神でもある。

 だから奴には、聖の力が効かなかったのだ。

 聖の力を使うのであるならば、その耐性も持っている事だから。

 「しかし貴様らが死ぬのはどうでも良いのだが、全員が頂点に立つものだからな。正直殺すのは少し厄介だ。だから我はある事を思いついた。」

 「あること・・・・」

 「今から、我の封印を解いた存在を殺せ。」

 「そ、そやつを殺せば救ってくださるのですか。」

 「おい法皇。さすがに危険じゃ。」

 「ははははははははは。」

 「まあ期間はそうだな。3ヶ月だ。」

 「3ヶ月?」

 「ああ。3ヶ月経ってもし殺せなかったら、ヒューマンとその関わりがあるファンタジーを全員滅亡させる。」

 ゴルグはそう提案した。

 「そ、そんなことが許されてたまりますか。」

 「なら我と戦うか。ちょうど腕がなまっていたのでな。まあ、死よりも残酷な方法でやっておく。」

 「精霊女王。3ヶ月以内に殺せれば、我々には平和が訪れるのですよ。」

 「・・・・・わかったわ。ここで戦っても私たちの存続の危機に陥るだけですから。」

 「しかし先に貴様が死ぬのだぞ。法皇よ。」

 「な、なぜ私が。」

 「なぜ?貴様がヒューマンだからだ。ヒューマンは固有スキルに魔王殺しの権利と、神殺しの権利を持つものがたまにいるのだ。まずは我にとっての危険因子を潰す他ないからな。」

 法皇は言葉を失った。

 「そしてこいつが、我の封印を解いたものだ。」

 ゴルグは何も無い所から映像を映し出した。

 そこには翼が剣になった鳥がそこにいた。

 「こやつが、我の封印を解いたのだ。」

 ゴルグ以外はそのターゲットを見てすぐに自身の支配する国へと帰った。

 「さあ、貴様が何者か調べさせてもらうぞ。」

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