第5話 いや、ヒロイン(?)がお金で落ちるタイプのチョロインにゃんですけど
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「あんたはこれからワイのハズバンドや!」
「いやちょっと待てよ」
「なんや?気に入らんのかいな?ちょっと急ぎすぎたな」
「いや、急ぎ過ぎとかそういう問題じゃねえだろ」
は?ハズバンド?転移したら急に嫁できんの?それもケモミミロリオッサン?
「ちょっと整理させてくれ。俺はいまここに来たところなんだ。右も左もわからない。OK?」
「にゃあ、せやったら、ワイがワイフとして教えてあげるってことでいいやん」
ワイがワイフて、関西人でもそんなしょうもないダジャレ言わねえよ。
「話が飛びすぎだろ。お前がワイフである必要ねえじゃん」
「いや、これは儲けもん《ビジネス》やで。ワイはまずハズがおらん。そして金もない。でもあんたは金を持ってる。
ほんであんたはこの世界について何も知らん。ワイフもおらん。でもワイはこの世界について色々知ってる。
もうここで結ばれるしかあらへんやないかいな!」
「だから、別に結ばれる必要ねえだろ!友達からでいいだろ!」
「そんなに言うんやったらもうええわ。勝手にせえ。ワイはこれからあんたのワイフという体で生きていくからな」
「そっちこそ勝手にしろ」
「ほんで、とりあえず街行こか。なぁ、だぁ!」
確かに、ここでこいつについて行かないとどうにもならなさそうだ。めんどくさい奴に引っかかったがここは我慢しよう。てか、「ハズ」とか「だぁ」とかいちいち旦那に対する呼び方の語彙が古臭いのが気になって仕方がないんだが。
ケモロリは地面に散らかった金貨をつめれるだけ袋につめてそれを背負った。
二人で歩いていくと、街道らしき場所に出た。
俺の頭には数個の疑問が浮かんできた。街につくまでの間、その話でもこいつとしておこう。
「そういえば名前を聞いてなかったな。俺はケイ。伏見慶だ。お前は?」
「ワイはファーガ。ミャオ族の出身や」
種族の名前は見た目まんまですか。そういえばこいつ語尾のこと完全に《作者》は忘れてるよな。
「ちょっと街につくまで質問していいか?」
「何でも聞いてみぃ、なんたってわいはアンタのハズやさかいな」
へいへい。
「まず。お前はなんであそこに穴を掘っていたんだ?」
「そりゃ、ビジネスや。あそこに罠しかけて、引っかかったモンスター売って金にするんや」
「へぇ。やっぱりモンスターって狩ったら金になるのか?」
「いや、ここらへんのはしょぼいな。なって1 Dや」
Dは金の単位だろう。今の所モンスターというモンスターは空で見たドラゴンしかいないが、きっとスライムとかもいるんだろう。
もう一つの疑問。それは俺がこいつと話したときから瞬時に湧いて出てきたものだ。『言葉が通じる』、これってご都合主義以外、何ものでもないよな。
俺はこれだけが許せなかった。むしろ「ハズ」とかの下りはどうでもいい。本当にご都合主義は嫌いなんだ!
この『ご都合主義世界である可能性』を消すための質問を俺はファーガに投げかけた。
「あのさ、もしかしてだけどさ」
「なんや?」
「本当に、もしかしてだけどさ」
「おう、はよ言うてみい」
「ファーガ、お前も『転移』してきたのか?」
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