第13話 お題 砂浜 魚 天使 :12話は欠番

 いくつものモニターがある部屋で俺はその画面を見ては今日も確認作業を怠らない。

 モニターには地上の風景が映っていて殆どが砂漠である、人類が作った英知の結晶、あれほどあったビルや街もなにもない。


 俺は壁にかけているカレンダーを見ては今日の日付を確認した、旧西暦2625年6月4日。

 ため息をはきつつ、ドローンのスイッチを切った。


「今日も人類は発見できず」


 旧世代の紙にそうメモをした、書物によれば日報と言う奴で暇な俺はそれを書いてはフォルダを閉じた。同時に背後の扉が開く、助手だ。 助手と言っても本名は知らない、俺が博士と名乗るのになったので、では私は助手ですね。と決めた設定である。


「博士今日も人類は発見されないんですか?」

「もう居ないかもしれないな」


 俺がそういうと助手はとても嬉しそうな顔をする。


「じゃぁ私と博士がアダムとイブですね」

「…………また旧時代の書物の影響か。かくして地上には天使が舞い降りた」

「実際に舞い降りましたけど」



 地上が砂漠だらけになったのはもちろん理由がある。旧西暦2525年6月4日遺伝子操作された兵士を使い戦争を起こした国があった。

 当時の国連では人間を使った兵士は一人もいなく遺伝子操作された兵隊を使う。兵隊がやられた人数により勝敗が決まるのだ。


 当然攻め込まれた国も同じく遺伝子操作をされた兵士を攻め込ませる。最初は100vs100である戦争は段々と大きくなり、負けそうになった国は最終的には全てを砂に変えるエンジェル空間圧縮流砂というミサイルを発射した。



「で。こうなったわけだ」

「博士?」



 助手が不思議そうな顔をするが、俺とてそこまでの頭は良くない。

 今は人類を発見する事だけが最初の目的だ。



「最後に発見されたのは……」

「22年前ですね」

「もう本当にいないのか?」



 俺は一本の煙草を口にくわえると旧世代のオイルライターで火をつける。

 ゆっくりと口からでる紫の煙はとても体の悪そうな色をしている。


 突如警報音が鳴り響いた。

 123区画にあるモニターを見た、地上に穴が開くと砂の中から突如人が現れたのだ。人類だ……俺は思わず出てこない涙が出たのかと錯覚した。


 これが感動と言う奴に違いない。



「博士!?」

「いくぞ! 周りの警戒を怠るな武器を持て」

「はーい! せっかく会えた人類ですもんね」



 俺と助手は高起動パワードスーツを身にまとうとすぐに人類の元に向かった。

 俺と助手であれば飛べば十分ほどでつくだろう。


 砂漠の真ん中で人類を見つけた俺は大きく手をふって笛を鳴らす。

 どの人類も俺達を見ては同じ表情だ。


 素晴らしい……これで俺と助手は命令を遂行できる。パワーレールガンを押すと地上に出た人類は次々に消えていく、最後まで抵抗した人類が俺達を見ては口をパクパクさせた。


「……なんとまるで魚のようだ。おめでとう、今日は素晴らしい日です。貴方の遺言はなんでしょうか? 日報に書き残したいです」

「さか……鏡を見ろ化物……め」


 そう言い残すと最後まで抵抗していた人は動かなくなった。



「だ、そうですよ博士、どうぞ鏡です」

「見ろといいましても頭は魚。体には羽が生えているぐらいですかね。そもそも、改造したのはあなた方人類のほうでしょうに海にあは魚があまっているとか、見栄え良く羽をつけたとか……しかしまぁ命令通り人類を滅ぼしているのですけど、いつまで続くのでしょうねぇ」

「まったくです」



 この日人類は滅亡した。




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