第6話 1時間制限お題 心臓・クッキー・毛布B

 幸せとはなんですか? そう先生が言い出した。

 一人の同級生が恋愛。と叫ぶ。

 別の同級生がセックス! と叫んだ。

 先生は困った顔をしながらセックスといった生徒の頭を叩く。


 先生は愛です。というと、僕らのクラス全員にチョコレートを配ってくれた。

 そう今日は2月14日。世間でいうバレンタインだ。

 本当は学校で学業に関係ない物を持ってきてはだめなはずなのに、初めてのクラスですから。と笑ってくれた。


 僕はそのチョコレートを帰りに食べながら考える。

 先生は最後に宿題をくれた。

 自分の中の幸せを来月発表してください。と。


 夜になり毛布に包まりながら色々と考えた。

 ああ、幸せだ。

 今この時、この場所、学校にいて皆と会えるのが幸せだ。


 なんだ、簡単じゃないか。


 僕の幸せは皆といるこの時間が幸せなんだ。


 3月14日なった。

 クラスメイトは先生にクラス全員で作ったクッキーを手渡す計画となっている。

 もちろん僕も参加していて、大きなクッキーが出来上がった。

 僕ももちろん、クラス全員が先生と一緒。というのが幸せなのだ。

 形は歪で少し割れているけどそれでも先生は泣いて喜んでくれた。


 僕は一歩前に出る。


 クラスメイトが不思議な顔をしている。

 僕はサプライズがあるんです! というと、皆笑顔になる。

 ロッカーに隠しておいたサプライズを用意すると、皆が驚き泣いてくれた。




◇◇◇



 一人の男が新聞を投げ捨てる。

 新聞の見出しにはホワイドデーの悲劇。とかかれおり、在学中の学生がクラスメイトと教師の心臓を銃で打ち抜いた。と書かれていた。


 犯人である学生の主張は、この時間が愛なんです。とだけしか書かれていない。

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