第5話 E博士 (昔話・リボン・チョコレート)

 E博士はチョコレートが大好きである。

 どれぐらい好きかというと買占めるほど好きである。

 なのに、重大な事件が起きたのだ。


 突然地球上からチョコレートが消えたのだ。

 地球上のチョコレート工場の前にはチョコレートを包んでいたリボンだけ落ちており、世紀の大泥棒参上か? と全世界を混乱に落とし込めた。


 悲しみと怒りに燃えたE博士は解決策を考えた、盗まれる前に犯人を捕まえればいい。




 E博士は四十数年という月日を使い、ついにタイムマシンの試作機を完成させた。くしくもチョコレートが消えた記念日だ。

 新聞にはチョコレートというものがあったと昔話で書かれている。直ぐに乗り込むと、チョコレートが消えた日へと出発をする。


 タイムマシンから出たE博士はまっすぐにチョコレート工場へと向かった。

 そこには消える前のチョコレートが大量に残されていた。

 E博士は犯人を捕まえる前に一個ぐらい味見してもいいだろうと考えた。


 リボンのついた包装紙を開け一口食べる。一口食べれば二口食べる、二口食べればとE博士の手が止まったのは倉庫からチョコレートが無くなった時だった。足元には包んであったリボンが落ちている。


 E博士は困りに困った。

 自分が食べてしまってはチョコレートを盗んだ犯人がわからない。


 E博士はタイムマシンに乗り込むと別のチョコレート工場へと直ぐに飛ぶ。

 その工場の倉庫には一人の男がチョコレートをがむしゃらに食べている人間がいた。


 にっくき犯人だ。

 E博士はその男へと飛び顔を見ると混乱し、飛びつかれた男も大変に混乱した。どちらもE博士なのだ。


 ブオンと音がしたと思うと空中にタイムマシン試作機が現れた。三人目のE博士が現れるとお互いの顔を見て考える。


 タイムマシン試作機が未完成だったのだろう。

 三人のE博士は握手をした、四人目のE博士が現れる前にチョコレートを食べきろう。


 三人のE博士が倉庫を空にしてタイムマシンへと乗り込むと、四人目と五人目のE博士が現れた。


 四人目と五人目のE博士は空の倉庫を見て憤慨する、一つぐらい残しておいてもいいだろう。と、そこに六人目のE博士がタイムマシンの試作機にのって表れた。四人目と五人目のE博士に他の倉庫へといきましょうと助言をする。


 直ぐに賛同した博士達は…………。



 最初のE博士は未来へと戻った。

 お土産にとタイムマシンに乗せたチョコレートを食べて新聞を読む。やはり世界にチョコレートは無くなったと昔話になっている。

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