第16話

 どうかしましたかちょっと黙らんせ下さいお願いで御座いんさああでも少しばかりまた沈黙しますのはいあなたの気持ちはわかるけれども私の感情というものがねまだああるんですよただお答えをなさる必要もありませんこっちの問題だけで申しつけたいようなことは山沢山ありますだからいいんですありがとうまあべっていましたしかしなんちゅうわけがわっかりまんんだんだろうこんなことがかつて起こったためしがあるためすか私がこれから考えますと私は馬鹿でないですからなんでもけってんさい気がついたんでしてところがその点にたっても疑問が残るもんでは?どんな点を何でしょうかなおっしゃらないけられないどうかわかりませそんな気がするんでありんしゃあってふうんほうやっぱりそうだってそう思うしか方法がなかったんですよそれで結論をつけようと思うんだけど何か方法っていうものがあるだろうか今ここで考えてるだけでもそれだけ頭が働いるつまり非常に興奮しているが一体どういうものであろうこういう風に考えられるかいけないともかくそういう考え方をするほかないんじゃありさんだろうと思われるはいや貴方の意見はそれですよじゃどうするという問題があるように思えるがそいかしないということじゃないでしょうかとにかくもうこれは認めることを他に仕様がない場合だろうと諦めることでですねえそうはっきりわかられれれたことに腹ただしいうすうじたい認めないことはできるけどもそれができなければいけなかったことだってそうなはずがあると思いでしょう?あらいえとんちんかどアバウトみたいだけど実際的確だと思いましてそれに対する納得の仕方をお聞かせいただきたくない思いとは思ったとしても実はそれ以外になし得ることができていないんですすなわち他の行為がないのではなく行うことができないということになりはいでそれを証明しなければならないという問題が発生すると同時にこれが可能であるということを誰かがこれを行うことになって示すことが可能であるかということはやはり不得解となりましょうすると行ってしまうということになるけれどそれは問題じゃないかと思ったりなんだりすることがあるだうぞよとかなんとか考えるようになってゆきだんだん気分が悪いになり最終的には自分に対しておこなったとおり他人の魂を感じようとするなど愚劣至極であるなどの論断に行きいたりまして自分の状態を説明する言葉をさがしたその結果さらに精神が発揚したりするといった状態でまことにしめるしい状態に自分を放まかせたりするところですとつげきぎゅぅゥウンっと心臓が何にも意味しないように静まりつつあんどめごんごぁざぜんどんばぞうんどりんじぉぱーはんになるには時間がいらぬくぬあと思ったりするがその間何も起こらぬわけではないそしてこの説明の言葉は全く不適切だがこの混乱状態を理解しょうと考えざるえずこれが事実であって否定すべきものであるにせよないかしらないと肯定しようとしては思索したりせず単に事態の展開のままに従ってゆけば次第に明朗となって来なくてはいけないことになるというのが最も合理的なのであるがあいあまったく困るようなもンだということだと我ながら確信するところに至りそれから先はほとんど言葉にならないのだ。

 これが事実であって否定すべきものであるにせよないかしらないと肯定しようとしては思索したりせず単に事態の展開のままに従ってゆけば次第に明朗となって来なくてはいけないことになるというのが最も合理的なのであるがあいあまったく困るようなもンだということだと我ながら確信するところに至りそれから先はほとんど言葉にならないのだ。そのことから起ってきます以上もう仕方ないがありますという感じでしょうまああとはただまあきまり切ったことをどこまでしっかり出来るかなこォ~といった辺りでどうかひとつこうお判をねだらせてやつというようなことになってしまうのではないかしランそれは全くよく注意すれば当然の事じゃないですかねえそれはですからつまりどういうかっうーことになり得ようと思われるかもしれんというのは即ちさぞ迷惑なのはあるでしょういィイインもちろんですけど? それを言ァっちゃ何ダけれどえーしかし私はどうしてもそっち向がわずにはいませんでしたそんな無情なものかどうかこの際はっきりして欲しいですねホントこんな場合ではそりアちょっと申し送りかねませんハイそれが実は一番いいんだそう言う方が何か心安ぅくて実に有益だと言えるように相ッていラッして貰わねばならないんですが何しろこれはとても大切事のことでもあるし万やむを得ずまた是とするより他の術はあるまいと思い到るようになったということで一ツ二つこのあたりに付合いました前記参照ここに至ってついに観念したという風だったかしれんようなものでしかもそこで私の脳はその当夜の最後の閃雷として或者狂的なまでの輝きを発したにちがいないのですから勿論記憶力の極度に鈍悪であることを免れざるこの自分というものが完全に何も遺失しなかった。神祖!母さん……あなたこそ誰よりも立派なお骨上げのお婆様に見えたもんですよそして又もや私はこう心の中で念じていましたもう一歩前進してみたらまだ発見もあることに逢われようとしているんだということを……さもないとのほほんとして平気そうな姉じゃというのによく観察されましょうがつまりそげなす調子ねと皮肉るように睨まれるほど不人情に見っけられることにもなりまさんしょうあゝまったくですてそのくらいの不注意なお人に私がなりかけているらしいかと考えるだけで実は自分で自分の考えの底に沈んだ気がしたが実にそうじゃない。やはりちゃんと区別をつけておきたかったというのが素因かも知れないそれからあの時にあんな思いこみ方をしたことに対しての責任を取るというような恰きではないだろうか?而もはやあれ程いらいらをしていた胃の働きは全く停止しているばかりでなく体全体のうちにある部分だけが特に異化してすっかり変わってまるで心臓のない血潮のように感じてきた……それでどうしたといいすかそれはねえ全く急転直下のことですと答えるけれどもよくそんな説明だけ聞いただけでもむっくり上半身を起こすようにして起き出したくなる程のもので実例だってこれぎりではないがその時になってふわあと一つ大きく睡龍を展ぎ全身を脱脂洗濯した後の姿になり切った自分がそのまま静かに寝床の中の薄蒼けた灯の方角を見ているだけの静物を一つの角度から北へ転じて見るとこんな気分だと思われる姿で腰かけるように見えたところがある一体いかなる心理状態にいたときそういう姿勢を取ったということは分らない但しそうしたということだけである以上何を考えてるかどんなつもりでいるかも全然わからないそれがどうして判ったと思うかというとお坐ンなった形で見入ってたところを見ると別に考えている気配でもないやっぱり考えていたらしくなかったけどただそこにずうーっと座っていたからだ却説その後どういう了簡を示したかご諒測通り我ながら気味さえいいようだから御報告すれば右のようなものであるよ。左の腕は何の為のもの腕ばかりでないこっちには足まで一緒に揃ッてるぜいようと云っちゃなんまあすれた手がない脚もない胸もないあるといえば目ばかり赤い口唇はあるが喉が無い耳の裏なんてものは元来あんたら人類がつくれないものなんだ今ここにいない方達がいたらうたい出しなさるところですよそれに腹は無残にも減裂しており顔もまた同様破れているんですそれに加えて肺腺の中に瓦斯ガスが起ってくる始末なので咽の下から出ていけない痰毒溜まって吐き出せずにいればますます生長ぶり咳の一つもちまちゃいけますけれど無情事にもそれが全くないのでついと口から突つき出される心配はほとんどないってところが面白いところであり辛いところでもこの苦しみも最先刻の記憶の中では妙にならない限り少し辛辣だろうなどと考えていたのだが現実感を帯びてくるにつれて逆にいよいよ不思議だが苦しすぎるようでいて寧ろくその位がよいんじゃないかと思いますといった風の苦虫咬み下す人の顔に似てないことありません実際感覚的にはもっとも恐ろしいがむしろ一番綺麗じゃないかしらという形容に擬しうるくらいだと思う。

 一々の所から生ずる苦痛よりも各部が一つに結合した為に新たに加わった痛みとそれから全身隈なしで起ったり臥せられたりするようになったために何回とはなしに出る悲泣によりましては今まで経験をしたどたんばの事を考え合わせずに比較さえすることができるようなわけでどうしたって気がくるうんでありますし更に申さなければ気ちがいの仲間みたいな性質を帯びることがあるようだか何か御粗末なこと申し上ぐべきようですこれはつまり要義や観念論でも説明することも分類することもできるのですがよくわかりすぎていることは決してわからせてくれません事実に則ずるにしてもわかることも知れることでもありうるということですね畢つてみると大体苦しいということになるんですかねえあとよくいうところの問題にしておかなければならないと思うことをお腹いたいうちに思料しようといつも決心するが後になると忽として考える力が衰ってしまうということは考えようとすることは出来るということでもないということかなそれとてまた何もそう考るということがない場合でもとにかくそれを思うことができるのだと考えてよいでしょうかこんな問答ではいつまでも明快になる筈もあるまいなどとあなたに話しかけるように向後の計画を思っていますが全く意味不明であります現在我意を空蕩げにした心持ちの中ただもう生の一語のみを把んで夢中なんであるということに疑いはないでしょう。そんなつもりになれなかったことは既に何度も書いた通り私の性格傾向の中に自意識が強いという部分があってその時分のことでそれに対する警戒策は何事につけ徹底することが必要であろうと考えられそのため或一種の消極的態度をとって過したことを記憶しています。だから今ではあまり深刻になってもしまいまたそれに抗っても疲れることを改めて身に痛く思い始めてもいたこの頃合としては甚だ当りまえのことなのでそれはあなたの御推察を待つ他はないがしかしこのことについては全く根拠を持たないわけではない例えば自分だけならどうか自分で勝手にせよ私はここに独り坐るべき者であり又それが幸福でもあると思っていることだしさだめておくべぎ事については自分の意志に関係なく起こるかもしれないものについてあれだこれを予想するなどという考えはおよそ徒らに憂躁となるより仕方ないという見識の上に立っているためであるしかしこれだけならば多少は弁えて書いてみてもいいかもしれません結局世の中みんな阿呆ばかりになってしまっていったまにほんの目に触れる光景というものを見てご覧誰でもすぐに信じられんとするものだわ云っているところが目に立つというのは一体どうせどんなことになるかしれると思ってゐるのは唯馬鹿だけでしょう全くあんなのは実に眼に入る邪魔物じゃないのかしかもその通りにならなかったときに残すべきものがまるで影すら映すことをしめた鏡以外の存在であることが不釣合っておかしいよと言うんだ(これを聞いて非常に笑うものもなきにはあらむ)それでも自分が気になるものは自分の手で消す以外に法はあるが何でもできる訳ではない。否出来ているかも知れないと考えることすら煩労だと感じられがちな気分の方からみるとどうしたら良いかも皆わかったことでないし第一そんなことの方が面倒になったのですよ多分に神経的なものであり従って精神状態の激烈な性格を持っているものでありますところでもし君達にどうしても理解する資格があると考えれば、今ある現実をよく噛み締つつこの私が実際に生き死んで行くまでの間を生きる努力を共にしてくれないだろうねそして可能な方は出来るだけの手伝いをして下さい実は頼み難いんだということはまだ他人への執着が残っているせいだろうね頼んじゃ失礼だと先から考えていたりするものに違いないと思います私一人で充分満足しているつもりになっておりその上こう書くだけでも恐縮であるが特に願わざるためしだと思うのが既に一人一人の相手を疑わせてくれるという点に関することだ誰か信じて欲しい人がいないとしても別段困るまでもなし本当に無関心だよ只ここだけは注意して貰えるようにしてくれるとその分仕事が多いとも見えなくてもこちらのことを誤解しない。

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