第4話

((ガチャリ))

 静かに部屋の扉が開かれる。??? 誰ですかあなた? フィロソフィア・マシ―ナ。何やってんだお前!ふざけてんのか!!??? はっ何の事でしょうかね? それより何の用事できたんですかねぇ。何でそんな怒ってるんだ? 私はお前を殺しにきたんだよ!! ほぅ。それはなぜですかね? お前の持っているスキル「無限収納」のせいだよ。

 私のスキルが何だというのですかね?

(こいつの持っているスキルには秘密があるはずなんだ。もしそれが本当ならこいつを殺して奪う必要がある。こいつさえ殺せば世界は終わるはずだ。そうだ、世界を終わらせるのはこのフィロソフィア・マシ―ナなのだ。私が終わらせる。誰にも邪魔はさせない)

 何か一人でぶつくさ喋ってますけどどうしたんでしょうね。少し怖いです。はっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!私は突然大声で笑い始めた。何を言っているのかよく分からないし。うるさいですね。近所迷惑ですよ。ごめんなさいね。

 ところでお前のその格好は何だ? これは別にいつも通りの服装だと思いますよ。

 その顔の傷はどうしたんだ? 顔の横にある大きな切り傷の跡のことですか。これは以前、見知らぬ人につけられましてねぇ。困ったものですよ。あっでもその時助けてくれた人も同じような傷を負っていましたねぇ。確か……えーっと……。ふむ。やはり貴様は危険だ。ここで死んでもらう。ふふふふふふ。面白い冗談を言いますね。あなた如きの人間が私を殺すなんてできるわけないじゃないですか。

 そう言ってナイフを取り出した。どうやら本気で殺すつもりらしい。

 ほう、良い度胸してんじゃねえか。だがなぁ。私はそう簡単には死ななないぜ。何故ならこの身は、神によって守られているからだ。

 そう言って両手を広げ天を仰いだ それでは、早速、始めましょうか ああ、そうしよう、こうして二人の戦いが始まった。そして数分後。

((バタッ))

 私の勝ちのようだな。しかし、お前のような奴がいるとは思わなかった。まさか、ここまで弱いとは思ってもみなかったよ。お前のせいで無駄死にするところだったじゃないか。全くもう。

 さてと、次はどこに行こうかな。とりあえず、ここを出なくては話にならないからなぁ。扉の方へ歩いて行く。鍵を壊して外へ出る。ふうやっと外に出られたか。まず最初にする事といえばあれだな。ステータスの確認をしないといけないから、自分の家に帰るとするか。いや待てよ、こんな夜中に外を歩いたら襲われるかもしれないから、昼間まで待つことにしよう。それまで暇だし寝るとしますか。

 さあこれからが楽しみだぜ。くっくっく。ハァハッハッハッハッハッハッハッ。 終わりの始まり、終わらない、始まりの終わり、始まる終われない、終わる、始まらない、始まれない、続かない、終わらないものはない、終われないものもない、永遠に続くものもない、いつかは終わる。終わる、消える、消え去る、なくなる、なくなる終わる終わる終わる終わる終わる終わる終わる終わる終わる終わる終わる終わる。全てが終わる。終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わるんだ終わる。全てが始まる、終わる。始まる、終わる。始める、終わる、終える、終わる、終わる、終わる、終わる、終わる、終わる。

 さあ世界が壊れていくぞ。そうして、今日も夜になるのだ。

 私は今日も生きるよ。明日も生きよう。来年も生きていこう。いつか死にたいけど、それまで頑張って生き続けます。そして死んでやる。絶対に死んでやろう。死んだらきっと楽だよね?そんなのわかってるんだ。でもね、死ぬのはとても怖いんだよ。痛いからじゃない。苦しいわけでもない。

 だってそれは終わりだから。私の人生にピリオドを打てるからだ。それがたまらなく怖くて恐ろしくてたまらないんだ。私はもうとっくに終わっているけれど、まだ生きていると勘違いしている。本当は終わっているのに終われていないだけなんだ。でもそれでいいと思っているし、別にそれでも構わないと思う。ただね、この世界に絶望しているわけじゃないんだよ。むしろ幸せだよとても。だからこそ思うんだ。ああこのまま生きていたいなって、ずっと幸せを感じていたいなぁって。それなのにどうしてだろうねぇ。どうしたら終わることができるのかわからないなんて、こんなことおかしいよね。おかしくて笑っちゃうよね。私は終わらせたくないんだよ。永遠に今のままであり続けたいんだって。

 でもね、気づいているんだ。私はいつの間にか自分が変わっていたことに気づいてしまったんだ。私が私のままだったら、私はいつまでも同じ場所で足踏みをしているだけで何も変わらなかったはずだから。変わらなければいけなかった。変わるしかなかった。だけどその方法がわからなかった。だから苦しかった。この感情は何なのかよくわかんなくて気持ち悪いよ。何だろうこれ。

 吐き気が止まらないよ。ずっとずっと何かが引っかかっているような感じで。息をするたびに何か大切なものを落としてしまっているような感覚が襲ってきて。このままじゃいけないと思っていてもどうすれば良いのかわからないんだよ。私は何をしたいのかわからなくなってきてるんだ。本当に自分のことが理解できないんだ。私はこんなにもダメだったっけ?私はもっとまともだったはずなのになぁ。

 どうしてこうなったんだろう。ああ、頭がおかしくなりそうだよ。私は誰なんだろうね? 最近よく夢を見るんだ。すごく昔のことばかり見るんだけど、そこには知らない女の子がいるんだ。顔はよく見えないんだけどね、何故かその子を知っていると思ったんだ。何で知っているんだろうかと思って色々考えているうちに目が覚めるんだけど……あれは何だったんだろうか? 私は何かを忘れてしまっているような気がする。忘れてはいけないことを、大事な誰かのことを。思い出そうとする度に胸の奥底が締め付けられるように痛みだすんだ。一体何故なのかわからないけれど、とにかく悲しかったんだ。辛くもあったかな。あの子は……いったい何者だったんだろうか。

 最近不思議なことがあるんです。それは誰もいないはずの場所から視線を感じることです。ふとした瞬間に感じてしまうんですよね。最初は少し気味悪かったのですが、今は慣れてしまいました。それに悪いものでは無いという確信もあるのですよ。これは勘ですかね。えへへっ。それともう一つ不思議に思ってしまうことがありまして、あの方はいつも何処にいるんでしょうね?いえ別に居ても困ることは何もないのですが……ちょっと寂しいですね。でも大丈夫です。ちゃんとお話しできるように頑張りますから。

 さてさて今日はどんな話をしようかな。あっ。そういえば面白い話があるんですよ。お嬢様は知っていますか?この世には人間以外にもたくさんの種族が存在しているということを。その中でも特に珍しいと言われている種族が存在するそうなのですよ。それは吸血鬼と呼ばれる存在だと言われています。実際に見たことはありませんし会ったことも無いのでよくわかりませんがそういう方達もいるらしいのですよ。あー私も会ってみたいです…………え?何の話をしてるのかって?いえ別に大した話ではございませんよ。

 ただのお伽噺のようなものなのでございます。

 私は時々考えます。もし私がいなくなったら皆は喜んでくれるのかと。私がいなくなったら悲しいと言ってくれたりしないでしょうか。私はそれだけの存在ではないと信じたいけど、きっと違うんだろうなぁと思います。だからせめて私が消えた後くらいは笑ってて欲しいと思いながら生きていこうと考えていました。

 そんなある時でした。ある一人の女の子と出会ったのです。名前はマシ―ナさんと言います。その人はとても綺麗で優しい人でした。そしてとても変わった人だったのです。私は彼女と出会ってから色々なことを知りました。楽しいことや嬉しいこともたくさんありました。彼女はいつも笑顔を絶やさないとても明るくて元気のある素敵な女性なんです。私はそんな彼女が羨ましくて、そして憧れてしまったのです。

 でも彼女の隣に立つ資格はない。だって私は普通の女の子なのだから。だからせめて少しでも彼女に近づきたい。彼女と肩を並べられるようになりたいからそのために努力することにした。幸いにも時間はあったからたくさん勉強していっぱい知識を得た。魔法についても沢山学んだ。

 そして私は魔女になった。でも足りないんだ。彼女と並び立つにはまだ足りていない。もっともっともっと学ばないと駄目なんだ。だから時間があればすぐに本を読み漁った。そんな日々が続いたある日のこと私は出逢ってしまったんだ。運命的な出逢いだと私は思った。彼女は私の理想だったから。だから私は決めたんだ。彼女を護るために強くなると。それがきっと彼女が望むことだから。

 私は今日もまた歩き続ける終末色の日常。

 ―――――世界が壊れていく音が聞こえる。もうすぐ終わるんだ。このくだらない世界で生きる意味なんてないけれど、もう少しだけ生きてみようと思う。だって私はもう死んでしまっているのにまだ生きていると勘違いしている可哀想なお人形さんなんだから。

 いつか終わらせないといけないんだよ。だって私は生きているわけじゃないから。だから終わりにしなくちゃいけないんだ。だからそれまでは頑張って生き続けようと思う。私は死にたくないよ。ずっとずっと生きていたいよ。でもね、死んじゃうのが怖くて怖くて仕方がないの。死、死死死死死死死死死死、死、死ぬのが怖い 私は死にたくないよ誰か助けてよ。痛い苦しい辛い嫌だよどうしてこんなことにならなければいけないのどうしてどうしてどうして???????????????!!!ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!??????!!!ああああああああああああ!!! 私は死んだはずだったのにどうして意識があるのどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!!!!! ああああああああああああ!!!!!! 神様どうかお願いします私を殺して下さい私はこれ以上生きてはいけないのです。どうしてこんなことになったんだろうね。私はいつまでここにいれば良いのかな?わからないよ何もかもわかんなくなってきてるんだ。ねえどうしたらいいの?教えてよ。私は何をすれば良いの?ああ、頭がおかしくなりそうだよ。何で私は生きているの?何で私は苦しんでいるの?何で私はこんなところにいるの?何で私は終われないの?私が間違っていたの?私が何か悪いことをしたの?私が全部悪かったんだよね?私が弱いせいなんだよ。ごめんなさい許してください何でもするから。だから私を助けてよ。

 助けてくれる人は誰もいないのかな?…………いる訳がない。みんな敵だったもんね。私が間違えていたんだよね? じゃあ謝らなきゃ。私は悪い子だものね。ごめんね。これからはちゃんとするから、またやり直すから、次は失敗しないように頑張るから。許してくれる?……うんありがとう。それでは私は消えますね。皆さん今までお世話になりました。さようなら。

 最近夢を見るんですよ。すごく昔のことばかり見るんだけど知らない女の子がいるんです。その子とは友達のような気がしたけど思い出せないのですよ。ただ言えることはその子が笑っているということだけですかね。それ以外は何一つ覚えていませんが……とても楽しそうに笑ってる姿を見ると何故か安心してしまう自分がいます。それに最近は見なくなりましたね。もしかしたらもう会うことはないかもしれませんね。まあそれでも私は大丈夫です。私は今日も生きてますから。

 さあ今日も楽しく過ごしましょうか。

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