第1話
パチッ
病室で寝ていた少女が目を覚ます。
彼女の名前はハナ。人間の女の子だ。
ハナ
「………」
彼女はベッドから体を起こし、窓のカーテンを開ける。
すると、窓からブアっと日差しが部屋に入り込む。
ハナ
「いい天気ね………」
彼女は窓から外を眺める。外は出掛けるには持ってこいの、快晴であった。
しかし、その晴れ晴れした天気とは裏腹に彼女の心情は曇っていた。
ハナは重たい病気を持っており、5年前にこの医療施設に住まうことになった。
その病気は突発性の病気であり、発症すると瞬く間に呼吸困難になり、死亡リスクが高まるものだった。
特に彼女の体に異常はなく、周りからみても彼女が重症とは思えない。
彼女は走ることもできるし、熱があるわけでもない。
生活に不便さも感じないため、本当に自分が重い病気であるのか疑問を抱いていた。
彼女は深くため息をつき、そして窓を覗く。
外には白い服を着た子供たちがボールを持って遊んでいた。
子供たちのはしゃぐ声が窓越しに聞こえてくる。
その様子を彼女は窓から眺めていた。
ハナ
(自分と同い年の子は学校に通い、青春をしている……)
(自分も皆のように学校に通って、一緒に勉強、スポーツをやりたい……)
(はあ…私も外に出られたらな……)
彼女はまた深くため息をつく。
ガラララ………
部屋のドアが開かれた。
看護士が彼女の部屋に入ってきたのだ。
看護士
「おはようハナ」
ハナ
「おはよう………」
看護士はにこやかにハナに挨拶をした。
看護士
「朝の注射打ちますね」
看護士は注射器を取り出す。
ハナは無心で袖を捲る。
チクッ
彼女の腕に注射器の針が刺さる。
彼女の腕から血が抜かれ、注射器に彼女の血が貯まっていく。
ハナは自分の血がどんどん注射器に吸われていくところをマジマジと見つめていた。
ハナ
(………)
(外に出たい……)
日を重ねるとともに、彼女は外に出たい欲求がより高まっていった。
ハナ
(………)
(絶対ここを出てやる………絶対に!)
( 5年もずっと施設の中、来る日も来る日もずっとここでリハビリの毎日………)
(友達ができたとしてもすぐ皆退院していなくなってしまう………ずっと一人ぼっちだ)
(先生もパパも、もうすぐ治ると言うけど、いつになってもここから出れない)
(このままじゃ絶対嫌だ。絶対に外に出てやる!!)
彼女は我慢の限界に達し、外へ出ていく決意をした。
翌日、ハナは外に出るために計画を練る。
彼女は、唯一監視カメラの範囲外である場所を見つけ、そこを通って外に出る計画をたてた。
ハナ
(絶対に出てやる……絶ッッッ対に出てやる!)
ハナはそう自分に言い聞かせ、着々と準備を進めていく。
一週間をかけて、ハナは準備を万全にし、ついに脱出計画を実行する。
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