第8話 「オードブル」と「年越しそば」

 年末に、おせちを作るために買い物に行きました。すると、「オードブル用」と書かれたものがいっぱいある。

「? ……オードブル?」

 年越しパーティとかする家庭もあるのかな?

 と思いながら、気にせずお節の材料のみ買って帰った私。


「ねえ、オードブルはどうするの? お節食べるようにする?」

 と、義母かあ様の謎の言葉。

「オードブルって何?!」


 北海道では(地域によるのかもしれないけど、この辺では)、大晦日の夜には「オードブル」とやらを食べる習慣が。って、そもそも「オードブル」の中身がわからぬ私はどうすれば?


 義母様いわく、

「オードブル作るの面倒なら、お節ならべときゃいいのよ。」

 いやいやいや。お節、大晦日から食べたら、元日の朝どうするつもり??

 仕方ないので、お節の予備をせっせと作る私。だって、「オードブル」がわからないんだもん。


 え? ちょっと待って。年越しそばはどうするの?

「年越しそばは、鶏ガラから出汁取って作るのよ」

 鶏ガラ?? 昆布とかじゃなくて?


 実家の年越しそばは、そばではなく、ほぼ、うどん。というか、しっぽくうどんのつゆにそばも入れる。出汁はいりこ出汁または昆布と鰹節。


 鶏ガラスープ?? で、かけそばのつゆを作るとな??

 とりあえず鶏ガラを煮てみる。そこに義母様に渡された「甘口醤油」を入れる。……って待って待って。「甘口醤油」って何?? 聞いたことない。味がわからない。

「それから『めんみ』で味整えてね」

 うわあ。「めんみ」わからねえ〜!!


 ということで、娘に味見をさせたらば、

「うん。いいラーメン屋になれるよ」

 ラーメン屋になってどうする……。


 そこから、義母様見てないうちに、濃い口醤油とみりん等で知ってる味にして、なんとかそばつゆが完成しました。ふぅ。


 そして元旦早々、未知の雑煮。

 誰かタスケテー


 と思っていた私も、今や市販の鶏ガラスープの素と濃い口醤油とめんつゆ、みりんで似たようなものが作れるようになり。

 っていうか、義父とう様が亡くなってからは、年越しそばもお節も頑張らない人になりました。

 

 何にもしなくても正月は来るさ。

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