第7話 湿度と室温

 北海道に来て一番に思ったこと。それは、

「湿度低っ!」

 でした。冬場の乾燥が半端ない。皮膚呼吸ができない。人間が皮膚呼吸してるのかどうかは置いといて。

 湿度計を見ると、18%……。え? 見たことない数字なんですけど、それ。とにかく苦しい。高温多湿を誇る南国から来ている私にとって、湿度が低過ぎるのは、体に異変が出てしまうほどです。

 

 風邪でもないのに咳が止まらない。手の乾燥が辛くて夜中に起きてハンドクリームを塗りに行く。……ハンドクリームって、保湿成分のものじゃないですか? だから、もともと水分不足の肌に塗っても辛いだけ。それに気付いて、最近は、しっとりタイプのローションを塗った上にハンドクリームを塗るようになりました。ボディークリームも。勿論顔も。全身クリームだらけ。


 ストーブを炊くときに、上に鍋ややかんが置けるタイプの物は、それらを置いておけばいいけれど(うちはなんと、それも置いてなかった!)上に置かないタイプのは、ほんっとに部屋の乾燥が凄いです。部屋用と、私の枕元用、台所と居間用の加湿器を買ってもらって、それでもまだ40%って、どんだけ??

 

 そして湿度に弱い道民。せっかく加湿した部屋を、「暑い」と言ってドアを開ける。いや、設定温度下げろよ! と思っている嫁なのですが……。


 そう。道民の冬の室内温度は、どうかしている。外が-20℃だろうと、部屋の中は25℃くらいで、トレーナー1枚。うちの夫はランニング1枚。いやいやいや、何なのその薄着。

 私が北海道に嫁ぐとき、母に、

「あっちはめちゃめちゃ寒いらしいから、これもこれも、あとこれも持っていきなさい」

 と持たされた分厚いセーター、もこもこのフリースetc.……着る機会などございません。着たことありません。


 その代わり、上着は異常なほどの保温力。冬場、実家に帰省することがあり、母に

「この冬は凄く寒いから、あんたの持ってる中で一番あったかいコート着て帰ってきなよ」

 と言われました。素直にいつもの分厚いコート来て帰ったら、暑いのなんの。……乗り換えするための羽田空港で脱ぎました。郷里の空港に着いた時に、コート着てない娘に、母、驚愕。

「なんて格好してんの!!」


 郷里、外は凄く暖かかったのですが、一旦家に入ると、寒い! なんて寒さだ!! トレーナー1枚じゃ過ごせないじゃないか! セーター要るじゃないか!

 母が気付きます。 

「あんた、まさかセーター着てない? ちょっと待って、これ綿めんでしょ!」

 あー、そうだったねぇ。こっちにいる時はセーターとかフリースとか着てたよなぁ。しみじみ。お母さん、貸して。

 

 夏は夏で、実家、寒かったです。どの部屋もクーラー、ガンガン。24℃設定とか、普通に。それを扇風機で拡散する。人工的な涼しさが最早ダメになっている私は寒くてしょうがない。誰もいない時に、そ~っと28℃設定にしたら、弟にめちゃめちゃ叱られました。だって寒いんだもん〜。

 

 北海道も最近凄く暑い日が増えてきて、流石にエアコンつける家が増えました。でも、うちは、窓開けただけで涼んでおりましたよ。いや、35℃とかになったら流石に涼めないだろう。

「あっつぅ〜」

 と思いながら料理してたら、夫が一言。

「ねぇ、なんで扇風機つけないの?」

 おおおおおお!!! 扇風機の存在忘れてた。

 郷里ではずっと35℃超えしてるので、扇風機など温風機でしかなく、エアコンなしで単体でつかったことがない……。扇風機が涼しいなんて忘れてたよ。

 そして一番驚いたのが、「冷風扇」。水を入れると気化熱で、その前にいる人だけ冷やすという、私にとっては画期的な扇風機。でも、部屋全部は冷えない。夫が高価極まりない羽のない扇風機買ってきましたが、それでも暑さで眠れない時も。

 いや、ずっと暑い日はまだマシで、夜になると、18℃とかになることもしょっちゅうあって、そうなると窓もうかうか開けて寝られない。

 

 はい。ついにエアコンを買いました。


 北海道、普通に除湿だけで涼しくなる。単に湿度の問題なのか? そして湿度を下げすぎる道民……。

「除湿いいなぁ」

 じゃなくて。夫よ。お願いだから普通にエアコン機能を使っておくれ。


 日々、湿度と温度と、夫との感覚差とも戦う嫁なのでした。

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