第6話 大自然だよ北海道

 北海道の動物って聞いて、何を思い出します? 狐? うんうん。熊? はいはい。丹頂鶴? そだね〜。多くの生き物を想像すると思います。私も思ってました。知床みたいなとこに行けば、熊とか鹿とか狐とかに出会えるんだろうな〜。って。


 いや、家の庭にいますけど、狐。

「え? 嘘でしょ? 狐?」

 って顔でそ~っと近付いていくと、

「狐ですが何か?」

 って顔で見られて、逃げもしない。結局3〜4メートルくらいまで近づくと、やっと逃げて行きました。いや、こんな近所にいるの? っていうか、人間に対して警戒心なさすぎだろう、狐!!


 リスもたまに出没します。っていうか、奴らは道路をよく渡っている。北海道では、「リス横断注意」みたいな標識をよくみかけますが、本当に、しょっちゅう道路渡ってますよ、奴らは。そして、渡ったな、と思って車を発進させようとすると、また半分のとこまで戻って来てから走り去る。

「あれ? 僕、道渡ったっけ?」

 って確かめるかのように。いや、覚えとけよ、今渡ったばっかじゃん!

 リスは一旦渡りきっても、戻ってくるので気をつけて下さい。

 

 リスと言えば、うちの娘は、学校のそばの木の近くを通っていたとき、リスが木の上から落ちてきて、娘の体を走って降りて行った、と制服を汚して帰って、迷惑そうに言っておりました。もっと大きい子も幾らでも通っていただろうに、何故、クラスで前から1、2番を争うくらいおチビな子の上を通ろうと思ったのでしょうね。

 リスの考えてることは謎に満ちています。


 ある日、早朝、まだ夜が明けきってない時間に、娘を駅まで送って行かなければならなくて、車を出そうとしたら霧。嫌だなぁ、でも濃い霧でもないし……と思いながら走っていたら、娘が慌てたように

「何かいる!!」

 と前を指差します。 

「何かって何?!」

「ゆーっくり走って、何かわかんないから」

 と、ゆっくり前進すると、確かに何かいます。何? でかいですけど??

「鹿?」

 と娘。

「鹿ぁ?」

 

 果たして、目の前には、鹿がおりました。まぁ、大きくて立派な角をもった、でっかい鹿。ジブリ映画に出てきそうな感じの。そして、この鹿がどいてくれない。クラクションを鳴らしても、ライトをチカチカさせても、どかない。鹿にぶつかる事故というのは北海道ではよく耳にするニュース。でも自ら鹿にぶつかっていく車は聞いたことがない。仕方なく、反対車線の安全を確認し、車線変更して鹿を追い越して行きました。車で鹿を追い越したのは、人生初でございました。


 熊の話はどうした? と思われているでしょう?

 熊はね、います。私は幸いまだ会ったことがないし、この先ずーっと会いたくもないと思っていますが、近所でも結構出ているそうで、たまに学校から電話があって、近くで熊が出たので、お子さんを迎えにきて下さい、と言われました。

 熊に出会ったらこうやって逃げるんだよ、ってことを聞いてはいても、いざその時になったら、頭真っ白、そんなこと思い出せるかどうか自信がありません。熊には出会わないようにしましょう。

 

 白鳥さんも来ます。うちは山ほど来ます。畑に植えちゃったかな? 随分実ったな? 収穫時期かな? ってくらい来ます。一番多かった時には約300羽(暇だったので数えました)。うるさいです。


 外でギャアギャアと、何かの首を締めているような声がして、出てみると、丹頂鶴。鶴のつがい。いや、普通に庭に鶴いるってどうなの? って感じです。そう、庭。畑とか湖畔とかじゃなくて、そこは庭だよ、君たち。人んちの庭でダンスする鶴……どうやらうちの庭がお気に入りのようで、毎年つがいでいらっしゃいます。うるさいです。

 そして今、1月中旬から下旬頃にかけては、「自立しろ」と放っていかれた子供の鶴が、親を探しているようで、毎日のように、うちの庭にきてはギャアギャアと鳴いております。うるさいです。


 キツツキも来ます。ちょっと前まで、敷地内でずっとつついていたのですが、去年から台所の窓から見える木の方に移動してきました。どうやら今までつついていたのが電柱だったことにやっと気付いたようです。


 こんな感じで、こちらから見に行かなくても来てくれる動物や鳥たちを見ていると、やっぱり大自然だよ北海道。と思います。

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