第3話 雪だるまと雪はね

 南国生まれ南国育ちの娘たち(二人おります)にとって、実は勿論、母にとっても、雪と言えば一番の憧れは「雪だるま」です。

「お母さん、雪積もった!! 雪だるま作っていい?」

「どうぞどうぞ。好きなだけ」

 娘はルンルンで雪だるまを作りに行きました。が、すぐ帰ってきて一言。

「お母さん、雪だるま、できない」

「は?」

 こんなに積もってるのに?


 夫に聞いて納得。

「この辺の雪は乾いてる雪だから、雪どうしがくっつかないのさ。試しに握ってみ?」 

 にぎにぎ。……バラバラ。

「これは……雪だるまできないよね……」

「水かけながら作ったらできなくもないけど、雪だるまというより『氷像』っぽいのになるぞ。そして、めちゃめちゃ冷たいからやめといた方がいいぞ」

 とのお言葉。

 娘に告げると、

「えー。つまんなーい」

 渋々雪だるまを諦めた娘は、その辺の雪にダーイブ。バサバサと雪をかきわけ進む。遊びが大分ダイナミックになりました。


 ていうか、「乾雪かんせつ?」乾いた雪ってどういうこと? 雪って溶けたら水なのに、乾いてるってどういうことー?


 それは、雪はね(雪かき)の時にわかりました。乾いた雪は軽いので、バサーッと沢山、一気に雪はねができるのですが、春先に降る「湿雪しっせつ」の時の雪はねの大変さはハンパないです。30cm四方20cmくらいの厚さにスコップで小分けにしながら進む。ありえないほど重い。

 夫いわく、

「日本海側の人達、いっつもこれくらいの重さの雪、はねてるからな」

 もー、日本海側の人、尊敬です。

 まぁ、乾雪は、風が吹いたら戻ってくるし、地吹雪凄いし、なんだかんだで大変なんですけどね。


 移住した頃は、「わぁ! 雪ぃ♪↗」だった娘も、数年後には、「わぁ、雪ぃ↘」に変わりましたとさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る