第010話 朝の生理現象
「ん……んん……」
誰かに体を揺り動かされているような気配がして、僕の意識が急激に覚醒に向かって上昇を始める。
「たっくん、起きて、朝だよ」
誰かの声が僕の耳を擽ったけど、昨日遅かったせいか僕の体は睡眠を求め、ごろりと寝返りをうって反対方向に体を向ける。
「もう、寝坊助さん。早く起きないといたずらしちゃうぞ?」
その誰かは僕の体を無理やり仰向けにした。
しばらくすると、誰かの重みが僕の丁度元気な下半身の上にのしかかり、またがっているのを感じる。重いというほどじゃないので僕はそのまままどろみの中で過ごす。
「寝てるのかな?いいのかなぁ?ホントにいたずらしちゃうぞ~」
「ん……んん……」
「ふふ、可愛い寝顔。起きないたっくんが悪いんだからね」
その誰かは何事か呟くと、僕の顔の上にさらに暗闇が落ちる。それと同時に「はぁ……はぁ……」と微かな息遣いが僕の口元に降りかかる。
しかし、暫く僕の口に当たっていた息は離れ、額に降りかかった思ったら「チュッ」というリップ音と僕の額に確かに感じる柔らかな感触。
「はっ!?」
「たっくんおはよう」
僕はその感触に一気に意識が覚醒すると、目のすぐ下には夏美姉ちゃんの巨大な二つの果実が迫力満点の存在感を放っていた。
どうやら昨日は夏美姉ちゃんの感触と匂いのせいで、全く寝れずにずっと悶々としていたんだけど、いつの間にか寝ていたらしい。
時と共に徐々に下半身の方に引いて行って、丁度夏美姉ちゃんの顔が僕の顔の前で止まってニコリと笑った。
朝から良い物を見せてもらったな……。
「な、何するの。姉ちゃん」
「ふふふ、起きないたっくんにいたずらしただけよ」
僕は慌てて自分の額に手を置くと、意地の悪い笑顔を浮かべて笑う夏美ちゃん。
全くこの人はいつも僕をからかって楽しむんだから。
昔からそういうところはあった。
思わせぶりな事を言っては僕をからかっていた。
「変なことしないでよね」
「別に目覚めのキスを額にしただけじゃない」
僕が手を額に置いて少し頬を膨らまして答えると、呆れるように夏美姉ちゃんは返事をする。
キスは日本では好きな人との間でしかしないし、挨拶でしたりもしない。姉ちゃんは一体どこの国の人になってしまったのか。
「普通そんなことしないの!!」
「私とたっくんは親戚だから大丈夫だよ」
「親戚でもしないよ」
「えぇ~別にいいじゃない」
よく分からない親戚ならOK理論を否定すると、物凄く残念そうな顔をした。
そんな顔したって駄目な物は駄目。そんなこといつもされてたら流石の僕も夏美姉ちゃんに襲いかかってしまうかもしれないからね。
「それよりも起きるから。どいてよ」
「ぶぅ~、分かった」
僕の顔と数十センチの距離しかなかった顔は大きく離れ、僕の上からどいた姉ちゃん、その下には僕のテントがあって確実に姉ちゃんのお尻の、しかも大事な部分付近に触れていた。
夏美姉ちゃんはすでに制服に着替えていて、その上にエプロンを付けていた。それがまた夏美姉ちゃんに良く似合っている。
「そういえば、男の子って朝から発情してるの?」
姉ちゃんはパンパンとはたいてスカートを直した後、振り返って僕にそんな爆弾を投下する。
「違うの!!これは男なら朝皆なる現象なの!!」
僕は布団の中で股間を押さえつけながら焦った顔で言った。
朝立ちは自分の意志ではどうしようもない生理現象だ。健全な男子高校生なら毎朝僕と同じようになっているはずだ。
「ホントに?」
「うん。これは生理現象だから……トイレに行ったら収まるものから……」
首を傾げて不思議そうに僕を見つめる夏美姉ちゃん。僕は「朝立ち」だなんて言葉を姉ちゃんに使うことが出来ず、生理現象という言葉に置き換えて説明する。
「そうなんだ。初めて知った」
「わかったらすぐに出てってよ」
何故か嬉しそうに笑う夏美姉ちゃんを僕は追い払うような仕草で答えた。
「ホントに手伝わなくていいのね?」
「いいって言ってるでしょ!!」
ニヤリと笑って手を棒を握るような形にしてシュッシュと素振りする姉ちゃんに僕は叫んだ。
「はいはい。ご飯冷めるから早く来るのよ?」
「分かってるって」
全く仕方のない弟ね、と返事をすると、制服にエプロン姿の夏美姉ちゃんは部屋を出ていった。
「朝から勘弁してほしい……」
下半身に乗っていた姉ちゃんの重みが未だに残っていて元々の生理現象もあってテントがさらなる成長を遂げていた。ホント禁止にしてよかった。毎日こんなことをされていたらティッシュが大変なことになっていたところだ。
「はぁ……トイレ行こ」
ひとまずトイレに行って出すものを出して着替えてからダイニングキッチンに向かった。
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