第007話 無防備な姉ちゃん

「姉ちゃん、お風呂入ってきなよ」

「え、たっくんが先でいいよ?」


 それからしばらく膝枕をしてくれていた夏美姉ちゃん。夏美姉ちゃんの太ももの感触と女性のメープルシロップのように甘い匂いを堪能した僕は。そろそろいい時間なので彼女にお風呂を勧める。


 しかし、彼女はメイドらしくそういう風に言うけど、女子より男子が先にお風呂に入るのは無しだと思う。それに僕のお腹はまだ辛い。

 

「そういう訳にもいかないでしょ」

「分かった。先にお風呂に入らせてもらうね」


 僕が譲ろうとしないのを理解して彼女は僕の頭をゆっくりとソファーに下してお風呂へと向かった。


「ふぅ。危なかった……」


 僕は夏美姉ちゃんに膝枕をされて最初は緊張してたんだけど、人間徐々に慣れていくもので、緊張は徐々に消えていった。


 ただ、そうなってくると気になってくるもので、女性特有の甘いスイーツのような香りが僕を包み、目の前に驚く程凶悪なたわわに実った女性の象徴があり、頭の下には軟かな感触と、その奥には好きな男くらいしかまじまじと見ることはできないであろう秘部が隠されていると思うと、思わず下半身に血が集まりそうになった。


 何妙法蓮華経……


 と心の中でずっと唱えてなんとかやり過ごしていた。


 しかし、それもそろそろ限界。そもそもいろいろな作品でそういうのを耐える描写があったりするけど、これは本能なので我慢でどうにかできるようなことじゃないんだよね。


 僕は夏美姉ちゃんに悟られなかったことを安堵していた。


「たっくん、お風呂ありがと。とってもよかったわ」


 それからたっぷり一時間半ほど経って、夏美姉ちゃんがお風呂から上がってリビングに戻ってくる。僕としてはお腹がきついので長風呂なのは歓迎するところだった。


「え、ああ、それはよかった。そ、それよりまたその恰好はなんなの……」

「え?こういうの男の子は好きかなぁって思ったんだけど違った?」


 夏美姉ちゃんは今度はメイド服じゃなくて、所謂彼シャツという言葉ふさわしい恰好で僕の前に現れた。


 僕はメイド服の時と同様に尋ねると、裾の端をひょいっと持ち上げながら僕に聞き返す。


「~~!?僕だって一応男なんだから、格好には気を付けてよね」

「へぇ~。たっくんもこの格好好きなんだ?」


 そっぽを向いて頬を染める僕に、夏美姉ちゃんは自分の体よりも広周り大きなワイシャツの裾を少したくし上げて、僕を誘うような笑みを浮かべた。


「べ、別に好きじゃないし。いくら親戚だからってそういう無防備な格好は良くないって言ってるんだよ」

「私は別に気にしないよ?」


 夏美姉ちゃんは昔からそう言うことにホント無頓着だ。


 自分の容姿とスタイルの良さをそろそろ自覚して振る舞いを自重してほしいと思う。


「僕が気にするの!!」

「全くもう、たっくんは固いね。こんなうら若い少女が無防備な格好してるんだからもっと喜べばいいじゃない」

「無理に決まってるでしょ」


 僕はギュッと目を瞑って叫けんだら、夏美姉ちゃんに呆れるように返されたので、僕はさらに呆れ返した。


 そんなことできるわけない。


 ワイシャツ越しに少し透けて見える女性の象徴を押し上げ、頭頂部がはっきりと分かる。そしてワイシャツの端々から覗くほんのり上気した肌としっとりと濡れた髪の毛は、夏美姉ちゃんの色香を僕に否応なしに感じさせる。


「あ、たっくん反応しちゃったんだ」


 さっきまで必死に我慢していたのに、ズボンの上からでも丸わかりなほどに盛り上がった僕の分身を見て夏美姉ちゃんが、面白い玩具を見つけたとでも言いたげな表情で呟いた。


「うっ」

「あはは。嬉しい。私の事もそういう対象としてみてくれるんだね」


 僕の反応を嬉しそうに笑う夏美姉ちゃん。


「違うよ、これは生理現象なの!!女性のそういう格好をみたら勝手に反応しちゃって自分ではどうしようもないんだからね」


 にこやかに笑う夏美姉ちゃんに僕は股間を押さえて隠しながら反論する。


 エッチな女の子が目の前に居たらそれが従兄弟かどうかなんて関係ないでしょ。妹はいないから分からないけど、多分反応しないものなんだと思う、多分。


「ふーん。そうなの?」

「そうなんだよ。それじゃあ僕もお風呂に入って来るね」


 ニヤニヤと僕をからかうような表情を浮かべながら尋ねる夏美姉ちゃんに、僕は身を隠すようにしてお風呂に向かった。


「はーい、いってっらしゃい」


 何か服務ところがありそうな夏美姉ちゃんは僕をにこやかな笑顔で手を振って送り出した。


「はぁ……これじゃあ気が休まる時間がないよ……」


 僕は脱衣所で着替えながら独り言ちる。


 メイドに、膝枕に、彼シャツ、今日だけでも盛沢山すぎて心臓が持たないし、僕も男なのでああいうことをされると色んな物が溜まってしまって、悶々としてしまう。


 僕はそんな気持ちを振り払うように服を脱ぎ捨て、脱衣所の籠に入れて浴場に足を踏み入れた。僕も今日初めて使う浴場。基本的にはスーパー銭湯のようにシャワーとお湯がでるスペースがいくつか並んでいてそこで体を洗う感じだ。


 僕はすぐに体を洗うためにシャワーと椅子があるところに座って頭からシャンプーで洗い始めた。


 頭をわしゃわしゃと洗いながら僕は色々とイケない想像をしてしまう。


 夏美姉ちゃんと一緒に学校に登校してみたり、夏美姉ちゃんと一緒にデートしてみたり、夏美姉ちゃんがおかえりと迎えてくれたり、そして夏美姉ちゃんと一夜を共にしてたり……。


 そんなことを考えていると、必然的に僕の膝の上のタオルを持ち上げるように主張する物が現れてしまった。


―ガラガラガラッ


 内心そんな気持ちで頭を洗っているとかすかな物音が聞こえた気がする。


 しかし、気のせいかと僕は構わずに頭を洗っていると、


「ご主人様、お背中流しましょうか?」


 と聞き覚えがある声が耳もとで囁かれた。

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