この淡々とした、静かなようで激しい感情のやりとりが、聖願さんという感じですね。
戦争を終わらせる都合のいいものはないし、あったとしても魔女のような犠牲を生むだけなんだろうなあ……。

「一人だけの戦争を終わらせる」……。そういう皮肉めいた結末だと考えていいのでしょうか……。
だとすれば、かなり切ない……というか苦しい終わりです。でも、ひどくリアリティがあると思います。

戦争は終わらない。というか、人間が生まれてから終わった試しがない。いろんなこと、考えさせられてしまいました。

戦争は人が起こすもの。そうですよね。それを終わらせてくれるだのくれないだのって言うのはなんか違いますもんね。
とは言っても、青年の縋りたくなる気持ちもわかる。自分ではどうしようもない問題だから。

＞苦しみの時間と濃度が違うだけ
＞そういうものなんだ、結局は
などなど、刺さる言葉がありました。

青年の選択を見定めた魔女は、このあと戦争を終わらせたのでしょうか。

ああ、たった一人の戦争を終わらせたのか。
戦争を終わらせるという言葉に惑わされました。もっと大きな物を終わらせると勝手に自己誘導してしまいますね、これ。
面白いです。

最後が切ないです。上手く言えませんけど、誰の前にも等しく現実がある、そのことの重みを感じさせる物語だったと思います。
この物語に出会えて幸運でした。