幕間 竜のいる東京

東京は、転生者が多い。

同じようにモンスターも多い。


例えば、この東京のどこかには人知れず魔王がいて、東京のどこかでは人知れず異能バトルが始まっていて。


どこかの偉い神様がセブンでおにぎりを買って、伝説の勇者一行がサイゼで駄弁ったりして。


ただ、その密度が高いのが東京なだけである。



「ドラゴン、ですか?」

「そうだ。それもただのドラゴンじゃない。原初——つまり全てのドラゴンの始祖の一匹だ」

「そんなヤツがなぜ東京に?まさか迷い込んだなんて、まさか——」

「その、まさかなんだよ」



「近々、戦争が起きますわね」 

「ええ、姐様」

「燃え上がる竜の姿がありますわ。これは……原初の?」

「赤き竜を求めて、幾許いくばくの命が天に昇るのでしょう」

「転生者達の運命行く末は…どうなるのでしょうか…」



「ストラトス。ストラトス。ストラトス」

「三度も唱えるべきではない。その口を閉じろ」

「原初の竜が、竜が。竜が!」

「原初の竜——厄災が?」

「覚める、醒める。終わる!!」

「いやいい、アンカー。俺らは見守るだけでいいんだ」

「見る、視る。観る?」

「そうだ、俺たちは…ただ、終末を見たいだけなんだ」

「ストラトス、ストラトス。ストラトス!!」

「その名を言うんじゃない……ただな」

「ただ?」

「街は破壊されたくないから、出向くかもしれんから用意はするぞ」



東京には、転生者が多い。

東京には、モンスターもいて、神もいる。

そして、人知れずひっそりと、転生者の終わりを眺める者もいる。


どこにもそんなヤツらはいる。

ただその密度が高いだけで。




原初の竜の力を求める者、転生者の終わりを観測する者はそれなりにいる。

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