第4話 成績評価とパーティと
探索者学園の成績評価はダンジョンで得た【ドロップ】を基準にしている。
モンスターを倒したり、宝箱から回収したりして得られたアイテムを学校に提出し、そのアイテム評価に応じた成績と【DP】を得られる。
このDPは学園側が提供可能なアイテムを購入する際に使用される通貨であり、様々なアイテムが購入可能になっている。
ありふれたアイテムだと【モンスター素材カード】が一番モンスターからのドロップが多く、価格が安い。このモンスター素材は生産系のジョブを手に入れた人間が加工することで装備やマジックアイテムにすることができる。
例えば【草原狼の毛皮】から【草原狼シリーズ(前衛系ジョブ向け)】、【草原狐の毛皮】から【草原狐シリーズ(斥候系ジョブ向け)】が作られる。
次にドロップしやすいアイテムが【魔石】だ。
このアイテムは【ジョブカード】の強化や、使役する【モンスターカード】の強化に使用するもので、大量に必要になる。
しかも魔石ごとにランクが決まっていて、草原のダンジョンで手に入る魔石は【魔石(★)】となっている。
この【魔石(★)】で限界まで強化した場合、【魔石(★★)】を使わないとそれ以上の強化が受けられなくなる。
現在最も需要の高いアイテムがこの魔石で、自分たちの強化の為に使用したり、売ってDPにして他のアイテムを購入する資金源となっている。
魔石の次に出やすいのは【アイテム】。
低ランクのダンジョンだと【ポーション】や【解毒剤】といった効果の低い消耗品が多いが、ランクが高くなるに連れて珍しいものが出るようになる。
モンスター素材、魔石、アイテムの次にドロップしやすいのが【装備カード】と【スキルカード】の二つだ。
【ジョブ】の力を使用すると自分の体を覆うようにして装備が出現し、体の動かし方がわかり、スキルを使えるようになる。
だが、それは最低限の強化でしかなく、装備カードやスキルカードを使うことで更なる強化をはかることが可能だ。
【初期装備】を使っていた【剣士】が【鉄の剣】の装備カードを持てば攻撃力が上がるし、非魔法使いのジョブでも【魔法系スキル】のカードを持てば魔法が使えるようになる。
“魔石によるジョブの強化”と比べて即座に効果が出てわかりやすく、また魔石と比べるとかなりドロップ率が低いので、この二種類のカードは高額で売買されている。いわゆるレア物だ。
そして最後に【ジョブカード】と【モンスターカード】が存在する。非常にドロップ率が低いが、ジョブカードを使うと自由にジョブを付け替えできるようになり、モンスターカードを使うとモンスターを使役できるようになる。
この二種類は非常に稀で滅多に出てこないが、その希少さに見合った価値と効果があると言われている。
そんな貴重なモンスターカードだが、実は【魔物使い】系のジョブは【モンスターカードのドロップ率アップ】のスキルを持っている者が多い。
魔物使いの基本スキルである【使役術】スキルの効果に、ドロップ率アップの効果が含まれているからだ。
◆ ◆ ◆
ダンジョン実習四日目。
赤ずきんが倒した狐のモンスターからモンスターカードがドロップした。
モンスターからドロップするアイテムはそれぞれDP換算すると【素材】が【1DP】、【魔石(★)】が【2DP】、【アイテム】は一番ドロップする【ポーション】で【5DP】程度。それに対し【装備】と【スキル】は【20DP】、【モンスターカード】と【ジョブカード】は【100DP】と高額で換算される。
本当は俺が自分でモンスターカードを使いたかったのだが、100DPを5人で割れば一人頭20DPにしかならない。これでは買い取れないので泣く泣く諦めることになった。
「ねえマスター? どうしてパーティなんて組んでいるの?」
寮の自室に戻ると赤ずきんが不満そうに言った。
せっかく赤ずきんが倒して手に入れたレアドロップのカードが売却に回り、わずか20DPしか貰えなかったのが納得いかないらしい。
俺も似たような気分だが、仕方ないと諦めている。
「今の俺たちじゃ狼相手に戦えないだろ。だからパーティを組まないといけないし、手に入れた成果も全員で分けるんだよ」
狐一匹相手なら赤ずきんだけでも余裕で対処できる。
だが、三匹一組で出てくる狼を相手にするには俺と赤ずきんだけでな戦力不足だ。
「私なら二匹は倒せるわ。マスターがもう一匹倒せばいいんじゃない?」
「それで戦っている途中に狐に襲われたらどうするんだ? 狼相手に時間かけてたらすぐに教わってくるぞ」
「……どうにかならないの?」
「無茶言うな」
二人で三匹相手もきついだろうに追加でもう一匹なんて無理だ。ただでさえ【魔物使い】のジョブは戦闘力が低いんだ。前衛の他のジョブと同じ扱いされたらあっという間に【HP】が削り取られて終わりだ。
「それに学校の方針でパーティを組まされているからな。ソロなんて危険なことは認めてもらえないと思う」
当たり前の話だがソロ探索は危険だ。十八歳以上の人間が受けられる探索者講習でもパーティを組むように推奨される。
まだ入学したばかりで実力も足りない俺たちがソロを認められることはないだろう。
「とにかく、まずは力だ。実力がなければ何もできないんだ。諦めろ。……あ、こら! ベッドに入るならコートを脱げ!」
俺がそういうと、膨れ面の赤ずきんはベッドにダイブしてしまった。俺の返事がお気に召さなかったのはわかるが、それとこれとは別の話だ。真っ赤なコートを取ってクローゼットの中に仕舞い込むと、ほっしりとした赤ずきんの肢体が現れる。
真っ白で滑らかな肌を惜しげもなく晒した、露出の多い赤いチューブトップとシュートパンツ。中も外も赤揃いだ。
そのままモゾモゾと布団の中に入ってしまった赤ずきんを尻目に、俺は今日の収入の20DPで購入してきた品物をカバンから取り出した。
2DPの【魔石(★)】が十個。
明るい紫水晶のような見た目で五百円玉くらいの大きさをしている球形の物質。
これを自分のジョブ――【ジョブカード】に使うと強化できる。
【モンスターカード】を出した時と同じように自分の中のナニカに意識を籠めると、手の中にカードが出現する。
【ジョブ】 魔物使い
【ランク】 ★
【スキル】
・使役術:
①使役モンスターコスト軽減(小)
②使役モンスター性能強化(小)
③モンスターカードドロップ率アップ(小)
手にした魔石を一つ、二つ、とカードに押し付けて吸収させるが変化がない。どれほど強化されたかもよくわからないし、20DPで良さそうな装備かスキルを見繕った方が良かったかな、と少し後悔した。
それでも続けていき、ついに最後の十個目を使った瞬間、カード表記が変化した。
【ジョブ】 魔物使い
【ランク】 ★→★☆
【スキル】
・使役術:
①使役モンスターコスト軽減(小)・
②使役モンスター性能強化(小)
③モンスターカードドロップ率アップ(小)
・特殊使役術(撃破):単独撃破orMVPを獲得した場合、補正(大)を得る。
「特殊……使役術……?」
ふと隣に目をやると、ベッドの上で身を起こした赤ずきんが両目を輝かせて俺を見つめていた――。
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