第11話
目を覚ました時、頭がズキズキと痛み視界がぐらついたまま何が何だか分からずに居た。俺は頭をふるふると振りながら動こうとした瞬間、ガチャンッッと何かが鳴る。
よくよく見ると手枷、口枷が嵌められろくに声も出せなければ手を動かすことも出来ずに居た。ただただ恐怖に怯えていると、扉が開き部長が現れる。
「おはよう。りく君」
「……??」
「やはりか。とりあえずおはようだ。挨拶をしなさい。いやすまなかった。君の口には口枷があったね」
そう言うと部長はニタニタと笑いながら、1度扉の外へ行き、数分後戻ってくる。すると手にはジャラジャラと鳴るほど多くの鍵、そして手を握って登場した妹の姿があった。
なにやってんだあいつら。
そう叫びたかったが、なんせ話せない。その苦しみからただウーッと唸るだけ唸っていると、妹は自分の口元に人差し指を当てて、俺に黙るようにとジェスチャーしてくる。
その指示にも従わずにずっと唸っていると、妹は俺の近くまで来て、口枷を外した。
「てめぇ!!」
「しーっ。黙りなさい」
「……てめぇ。なめんなよ!」
「はいはい。こわいこわい」
「コノヤロウ……」
妹は明らかになめた態度を取っていた。それに腹が立つが何も出来ない、何もさせてくれない身体の自由さを奪われている状態に、ただただ悔しさが増す。更に怒りのせいか血圧が上がり身体がしんどくなる。
「ちくしょう……」
そうボヤくと、部長と妹は少しなにか話した後に、俺に3つ質問を投げかけた。
「君は誰かね?」
「俺は██████!」
「君の妹の名前は?」
「……妹は妹だろ」
「最後だ。君の初彼女の名前は?」
「……美由紀だ」
「へぇ。美由紀ってだけ覚えてるんだ」
なぜだか、いきなり人の名前が浮かんだ。誰だか分からないがとりあえず美由紀と叫んだ。
なんだ。なんなんだ。この状況は。
俺はただ恋をして、幸せに暮らしたかっただけなのに。何故こんなにも不幸が起こるんだよ。
訳分からねぇ!
ただ俺は悔しさで涙を流していると、妹は悲しげな顔をしながら俺の頬に手を当てて言った。
「これはゲームなの……」
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