第5話

 俺は事件を目撃した翌日から、新たに情報を増やすために部長に会おうと会社へ出向いたが、会社は何故か完全に潰れているだけでなく、この短期間であの光り輝く会社としての姿を消していた。


 ただボケっと突っ立っているとスーツを着た青年に声をかけられる。


「あの……」

「え、はい」

「すみません。そこの会社に用があるんですか?」

「あ、あぁ。ちょっと」

「そこの社長さん捕まったみたいで、会社自体が無くなったらしいですよ。どうやら脱税とか女性へのセクハラとかで」

「あぁ。とうとうバレたんですね」

「え?」

「……昔働いていたので」


 スーツを着た青年は驚いた顔をしつつも、俺に向かって頭を下げながらどこかへ行った。調べあげた会社の裏事情が全部バレて会社自体が無くなったことに関しては嬉しかったが、部長との接点がなくなってしまったことに、少し残念な気持ちが襲う。


 どうすべきか悩んで、ウロウロしようと1歩踏み出した時だった。


 偶然か。はたまた必然か。


 部長が俺の目の前に現れた。


「おや?」

「お、お久しぶりです」

「……君。」

「はい」


 部長はニヤッと笑いながらどこかへ行った。


 もしかして俺が嗅ぎ回っていることがバレているのか不安が襲った。


 どうすべきなのか。


 俺は……!

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