第2話
ガチャッと玄関の扉が開き妹が帰宅した。今日の行動が勘づかれていないかドキドキしていると、妹はいつもの様に俺の部屋の扉をノックして、無断で侵入してくる。
「ただいま。あなた♡」
「お前の夫じゃねーよ」
「前よりツッコミ雑になったね。私がお兄ちゃん助けたおかげ?」
「……うるせぇよ」
妹に助けられてから俺は若干妹に対して冷たく当たるのは失礼なんじゃないかと思っていた。だからといって結婚する訳でもなく、付き合うなんて愚かな事はしたくない。だから出来るだけ冷たくしすぎず優しくしすぎずの境界線を作った。
妹はいつもの日課のように「結婚しようね」を言ったのちに自室へと行った。俺は早速妹日記に妹のことを綴った。
【仲良くしているのは○くん。△ちゃん。
○くんは部長の息子の可能性有り
△ちゃんはこれから探る】
初日にしては上出来だと我ながら褒めていると、母から早めの夕食の声がかかる。居間に行き、母の手料理を食べ終えたあと、俺は自室に戻ってあのオンボロアパートのことを考えながら眠りについた。
☆☆☆
翌朝になり昨日のように妹が家から出た後に、小学校まで先回りして△くんを探していると、小学校手前まで△くんの隣を歩く部長の姿を見つける。本当に部長の子どもだったんだと思ったが、どう見ても似ていない。他の人の子なのではないかと思うほどだった。
次の瞬間妹が突如現れ、一瞬俺の方を見てきたような視線を感じた。これ以上ここに居るわけにも行かず、ゆっくりと動きながら部長を尾行していると、部長はあのオンボロアパートへと帰って行った。
するとアパートから部長の怒鳴り声。若い女性の泣き声が響く。助けに入ろうかと思ったが妹に、そして部長にバレたくないため悲鳴をあげている女性には申し訳ないが、怒鳴り声が止むまで待った。
数時間後、13時を回った頃数時間響いていた泣き声、怒鳴り声は止み、部長がスッキリとした顔でアパートから出てくる。
部長レベルが何故こんなにボロいアパートに住んでいるのかを探るため、俺は急いで自室に戻り会社に関して徹底的に調べあげた。
調べていくうちに衝撃の事実が襲う。
こんなにも酷い会社だとは思わず、これをどう活かし、部長を脅して今まで疑問だったことをぶつけるのかを考えていた。
そして△くんを救うために俺は動き始めた。
妹にバレないように。それが大前提で。
妹。お前の友達は俺が助けてやるからな。
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