第21話

 妹と自宅に帰り傷ついた身体を治そうと塗り薬や飲み薬、身体に付けられた傷を癒すために消毒などをしていると、妹が後ろから俺の背中へ抱きついてくる。


「お兄ちゃん大丈夫ー?」


 俺は妹のその言葉を無視し、妹を背中から離す。再び薬を塗り始め、脱いでいた服を着込みその場を後にして自室にこもる。

 俺は今回の経験からいつ死ぬか分からないこと、妹への恩が出来てしまったこと、そして死んでしまった時用に日記を残そうと。


 机に向かって強くペンを動かしながら、筆圧も強くなっていく。

 妹への恩を忘れてはいけないが、妹の秘密が何なのかを知るためにも、まずは今までの行動を振り変えようと、綴っているとバタバタと音を立てながら誰かが自室のドアをノックする。


「お、おい!」

「父さん?」

「何日もどこ行ってたんだ!」

「……ちょっと友人宅にね」

「それならいいが。心配になるぞ。連絡くらいしなさい!」

「はい。すんません」


 すると父はドア越しでも聞こえる程の深いため息を吐いて、戻って行った。数分もしないうちに次は妹が現れる。


「お兄ちゃん入っていいー?」

「……どうぞ」

「ありがとっ!」


 妹はニコニコの笑みで俺の部屋へと足を踏み入れる。俺はそんな妹を気にしないようにして日記を書き続けていると、妹は俺の布団の匂いをかぎながら嬉しそうにしていた。


「何やってんだお前」

「いい匂いだなーって」

「気持ち悪いから離れろ」

「お兄ちゃんはさ。人への恩を忘れるタイプ?」

「……」

「ねぇ。今私がお兄ちゃんを洗脳させちゃうことだって出来るんだよ?」

「やってみろよ」

「……まぁやったら、お兄ちゃんが私の秘密を探ることが出来ないからやらないけどね」


 妹から笑みが消えて、次は悲しそうな顔をしながら俺の部屋から出て行った。


 俺は改めて妹の行動を振り返った。


【妹日記:4歳の頃→俺への異常な愛が漏れ始める】

【7歳→徐々に欲が強くなり、俺が18の頃にできた彼女の秘密をいとも簡単に握る】

【八歳→大学時代に出来た彼女の異様な生活を見抜き地獄を見ると予知したように忠告をする】

【そして今現在も変わらず俺への愛が残る。だが秘密をさぐれと謎言動】


 俺は日記に綴っていると、ずっと長年変わらないのは俺への愛だけであり、ほかの生活などを一切知らなかった。妹なのに。

 だから俺は決めた。次は俺が妹を永遠と探る番だと。翌日から決行しようと急で失礼ではあったが会社を辞められるように連絡をした。


妹よ。勝負だ。俺は絶対にお前とは結婚しない!

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