第4話

 俺は学校が終わると同時に教室まで彼女を迎えに行った。すると彼女も嬉しそうに教室の前で立っていた。


「行こうか」

「うん!」


 彼女は元気に返事をして、校外に出る。そこから数十分かけて俺は彼女と行きたかったカフェに着いていた。店内はとてもいい雰囲気でありながらも、小さい子どもが楽しめるスペースが完備していて、子連れのお客さんにも対応しているいい店だった。


 すると彼女は子どもを見ながら俺に向かって楽しそうな顔をしながら、微笑んでくる。


「子どもっていいよね。可愛くて!」

「そうだねぇ……」

「ねね、俺君はさ子ども何人欲しいとかある?」

「へ?」


 彼女からの突然の質問に俺は思わず変な声を出してしまった。彼女もそれに気づいたのかボッと耳が真っ赤になり恥ずかしがりながら、「今のはなんでもない!」と焦りながら言った。


 そんな彼女も俺は可愛いと思った。


「気にすることないよ。俺は子ども何人だろーな。一人っ子は寂しいって聞くし出来れば二人……。んーでもなー」


 かなりの時間悩みながら話していると彼女は俺の服の袖をキュッと掴みながら、耳元で囁いた。


「わ、私は一人がいいなー。なんて……ね」


 彼女は今にも爆発しそうな程に真っ赤になりながら言った。確かに俺もあの妹の件もあるから将来子どもを育てるなら一人がいい。そう思っていた。


 そんな話題から一転、次は彼女から進路の話を持ちかけてきた。


「私はもう合格も決まってて、大学に行くんだけど、俺君は?」

「俺は就職だよ」

「そっか。会える時間減っちゃうかもね」

「そんなことないんじゃないかな。俺が就職するところは土日休みは絶対だし」

「ほんと?!」

「本当だよ」


 彼女は嬉しそうな顔をしながら、「土日は絶対遊ぼうね!」と言ってくる。俺はカフェに居るはずなのにも関わらず、二人だけの世界に入り浸っていた。


 彼女もまた二人だけの世界を楽しんでいた。


 そんなこんなで彼女とまた二十二時まで遊び尽くし、家に帰る時間がやってきた。


「またね」

「俺君、気をつけて帰ってね」

「もちろん。君もね」

「うん!」


 そう言い別れると同時に、妹が何故か現れた。


「うわぁっ?!」

「お兄ちゃん。あれ誰なの」

「お前には関係ないだろ……」

「婚約者の私を放置して他の女と遊んでたの?」

「婚約者じゃねぇだろうが!」

「……まぁいいけど。あの女がどうなってもしらないから」


 妹は恐ろしい笑みを浮かべながら、家の方向帰って行った。俺も妹になるべく近づかないように家に帰りながら妹の言葉を思い返していた。


 あの女がどうなってもしらない。ただの子どもの戯れ言だと思うのが間違いなのではないかと感じるほど憎悪に満ちた言葉だった。


 俺は危険だと思い、妹と彼女を近づけないように決めた。なるべく彼女と出かける時も外ではなく建物内に、そして人通りの多い場所を歩こうと決めた。


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