第5話 大切な本のために
「えっ?本棚が使えない?」
玄関で誰かと話に驚くミナモの声がアカリ達のいるリビングまで響いて、紅茶を飲んでいたカグヤ以外のみんなが一斉に玄関の方に振り向いた
「はい……はい……。分かりました。報告ありがとうございます」
話を終えたのか、パタンと玄関の扉を閉じる音が聞こえて、ミナモがしょんぼりとした顔でリビングに戻ってきた
「どうしたの?何かあった?」
ソファーに座ろうとするミナモにアカリが話しかけると、紅茶を一口飲んではぁ。とため息つきながら、ミナモが話しはじめた
「今、他の本棚の修理する場所が多く、僕の本棚の部屋の扉を直すのは数日後になるそうで……」
と、しょんぼりと話したその内容を聞いて、カグヤがちらりとユイを見ると、その視線を感じたユイが苦笑いをしながら顔を背けた
「しばらくは本棚が使えないから、本を書くのは控えるようにと言われてしまいました」
「そっか……。最近、本を書くの頑張ったのにね」
「ユイの本棚に置いておけば良いんじゃないか?」
ミナモとアカリの話を聞いてカグヤがそう呟くと、突然の提案に驚くミナモ。ユイもすぐには嫌とは言えず、困った顔でミナモに話しかける
「別にいいけど、私の部屋は散らかってるよ」
「いえ、大丈夫ですよ。なるべく早く直すといっていたので」
「でも、書いた本はあまり持ち歩いたりしない方がいいんじゃない?」
「そうね、間違って他の人が読んだりしたら大変だもの」
「そっか、どうしよう……」
アカリとヒカリの言葉を聞いて、ミナモが困ったように持ってきていた本を見つめると、ユイも困った顔でリリと見つめ合う
「じゃあ、私の本棚使う?あまり使ってないから、置くスペースはあるよ」
「ルカさんの本棚ですか?」
「うん、私とサクラの本棚なら料理の本は、あまり影響はないと思うし」
ルカからの提案に嬉しくも返事に悩んでいると、それに気づいたアカリがミナモに声をかけた
「そうしなよ、ルカに料理教えてもらう時間も増えるよ」
「そうかな……。じゃあ、お願いしようかな」
エヘヘと笑ってお願いをミナモにサクラが頭を撫でる
。つられてモナカもミナモの頭を撫でると、それを見たルカがクスッと微笑んだ
「じゃあ、お片付け終わったらミナモくんの本を置きに私の本棚に一緒に行こっか」
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