第4話 大切なお菓子は壊れないように
「アカリー。出来たよ!」
リビングにお菓子の焼けた匂いがしてしばらくし後、アカリ達を呼ぶルカの声が家中に響き、バタバタとルカやミナモがいるキッチンに走ってやって来た
「美味しそう!早く食べよう!」
「リビングに運んでからね。紅茶も淹れるから」
「あっ、紅茶は僕が」
テーブルにたくさん置かれたケーキやクッキー、フルーツとたくさん並んでいるのを見て、目を輝かせるアカリ。その隣で、つまみ食いをしようとケーキに手を伸ばすヒカリの手をモナカがバシッと強めに叩く。カチャカチャとティーポットとコップを一緒に用意するルカとミナモの声も聞こえて騒がしいキッチンを止めるように、玄関の呼び鈴が鳴り響いた
「アカリー。入っていい?」
「はいっ!開いているので入って良いですよ!」
玄関先から聞こえてくる声に、アカリが大声で返事をしてすぐ、ガチャと勢いよく玄関の扉が開いた
「お邪魔します。……って良い匂いがする」
扉を開けてすぐ焼き立ての匂いが来て、その匂いにつられるように、家の中に入ると、キッチンからケーキを持ったアカリが出てきた
「カグヤさんと、アンズも来たんだ」
と、ユイとリリから少し遅れて家に入ってきたカグヤとアンズにアカリが声をかけると、持っていたケーキを見るなり、リリとアンズが笑顔でケーキの側に駆け寄ってきた
「ちょうど今、みんなでおやつ食べようとしていたんですよ」
「本当?良かった、間に合った!」
紅茶を持ったミナモがユイに声をかけながらキッチンから出てくると、ユイがご機嫌でリビングに向かっていく。片付けをしていたルカもキッチンから出てきて、アカリと一緒にリビングへと向かっていると、少し重そうにケーキを運ぶアカリを見たカグヤが無言でケーキを取り、リビングへと歩きだした
「あ、ありがとうございます」
突然ケーキを取られて、ちょっと驚きつつもお礼を言うが、振り向くことなく先にリビングに入ったカグヤ。すると、ヒカリ達の騒ぐ大きな声が聞こえてきて、モカと一緒にクスッと笑って、リビングに入っていった
「そういえばミナモ、本棚の部屋の扉あれどうなってるの?開かないじゃん」
おやつを半分ほど食べ終えた頃、ユイがミナモに話しかけた
「そうなんですよ、最近立て付け悪くて……って動かしたんですか?」
「うん、開かなかったけど」
と、クッキーを一つ取りながら返事をすると、ミナモが困った顔で紅茶を飲む
「えー、扉壊れてないかなぁ……」
「まぁ、大丈夫でしょ」
「いや、あれは壊したな……」
「カグヤ!」
と、誤魔化そうとしていたユイの話の間に、ポツリと呟いたカグヤの言葉に、ユイが思わず大声を上げた。アカリ達がその声に驚き、ミナモは苦笑いでクッキーを頬張った
「ここか、ミナモ君の本棚は」
ユイとカグヤ達がミナモの本棚の前から帰ってすぐ、数名の男性が扉を修理に来ていた
「失礼しますよ。ってあれ?開かないな」
コンコンとノックをした後、扉を開けようとするが、なかなか開かずガチャガチャとドアノブを何度も動かしてみるが全く動く気配がなく、扉の周りを見渡しはじめた
「本当だ。壊れてるな」
と、一緒に来ていた一人が、ガチャと少し強めにドアノブをひねったその時、ドアノブが外れてしまった
「あーあ、これは重症だ。色々と直す為の道具が足りないな、後日直そうか」
外れたドアノブと扉の周りを見て、一人がため息まじりにそう言うと、一緒に来ていた人達も、それに答えるように頷いた
「そうだな、ついでにミナモ君には、数日本棚は使えないと伝えておかねばいけないな」
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