第3話 甘いお菓子心踊る
「美味しそうな匂いがしてきた」
ミナモとルカがお菓子を作り始めてしばらくした頃、アカリ達がいるリビングに、お菓子を焼いている匂いがしてきて、本を書いていた手が止め、キッチンの方を見ていると、モカとミナモがリビングにやって来た
「もうすぐで出来上がるけど、調子はどう?」
「私も、もうすぐ終わるよ」
「ずっと、もうすぐで終わるって言って進んでないけどね……」
モカの質問に答えるアカリに呆れながら話に割って入ってきたヒカリに少しムッとしながらも、本をパタンと閉じてふぅ。とため息ついた
「そういえば、ユイさんは?今日は来ないの?」
と、ソファーに座ろうとしていたミナモにアカリが話しかける
「今日は、本棚の清掃担当なので後で来るって言ってましたよ。おやつは必ず残しておいて!って」
「そうなんだ。出来るまでに来れるといいね」
「はぁ……。面倒……」
アカリ達がユイの話をしていたその頃、本棚のある場所の廊下で、掃除道具を持ったユイが、トボトボとゆっくりとやる気無く歩いてた。そのユイの頭にリリがペタンと乗り伏せってやる気無く休んでいる
「今頃アカリは、ルカとミナモの美味しいおやつ食べてるのかなぁ、いいなぁ……」
はぁ。とため息つきながら呟いていると、ふと側にある部屋に気づいて足を止めた
「ここ、ミナモの本棚の部屋か」
コンコンと部屋の扉をノックして、扉を開けようとドアノブを回し引っ張るが、ガタガタと揺れるだけで扉は開かない
「なにこれ、壊れかけてるじゃん。もー……」
と、どうにかして開けようとガチャガチャとドアノブを動かしたり、扉を押したり引っ張ったりしていると、その物音に気づいて誰かが近づいてきた
「ユイ、何をしている?」
カグヤがユイの行動を見て呆れながら声をかけてきた。その声に気づいて扉を開けようとしていた手を止めた
「見ての通り掃除だよ、掃除。カグヤこそ何をしてるのさ?」
と、扉の側に置いていた掃除道具を取りカグヤに見せながら問いかけると、カグヤの側にいたアンズがリリの頭を叩いて無理矢理体を起こしはじめた
「散歩だ。アンズが暇って叫んでてな」
「ふーん、じゃあカグヤも一緒にアカリの家でお菓子食べに行く?」
と、リリの体を揺らしていたアンズがユイからお菓子という言葉を聞くなり、カグヤの頬を引っ張り行こうと催促したじめた
「アンズに聞かせたら行くしかないだろ」
頬をグイグイ引っ張られ呆れながら答えるカグヤ。すると、ユイが持っていた掃除道具をカグヤの目の前に差し出した
「そうだよね。だから、一緒に掃除してさっさと食べに行こ」
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