第3話伯父との再会

目が覚めると私は一人で道路に立っていた。


あれ?私は車にいたはずだが・・・父の車はそこにはない。

置いてかれた?はっ?

私は頭が混乱する。私がイライラしてたから置いていったのか?

仕方がなく歩きながら実家に向かっていく。

場所は詳しくは知らなかったが置いてかれては自分で行くしかない。

畜生なんなんだよあの両親は…ふざけやがって

しかし歩けど歩けど実家には着かない。思っていた以上に遠かった。空は段々と暗くなる。


はぁ、仕方ない次に人と出会ったら場所を聞くしかないか・・・。

これまでに何回か人とすれ違ったが、見るからにすれた私には誰も見向きもしなかった。そんなとき前方に人影が見えた。やった、と思わず顔がほころぶ。


「すいません、この辺に神明神社はありませんか?」

相手は子供連れの家族だった。

しかし私の問いに答えるどころかそのまますれ違おうとした。

私の見た目がよくないのか?


「ちょっとすいません、私道に迷ってしまったんです」


さらに家族は離れていく。聞こえていないはずはない

私はとうとう頭にきて

「おい、無視すんじゃねえよ」


と家族連れに怒鳴りながら父親の肩を掴んだ。

確かに掴んだはずだった、いや掴むことができなかった。

私は目の前が真っ白になった。

あ?え?そんな、もしかして・・・


おかしいとは思った。すれ違う人がまったく私に気づいていないような気もしていた。

夕闇の中、私は途方もなくとぼとぼと歩いていた。

そんな時だった。ぼろぼろになった看板が目に入った。小林探偵事務所この先左・・・。

これは伯父が開いた探偵事務所だ、つまり目的地になる、両親はどうなったのか、

私は・・・。出来ることであれば私へのドッキリであってほしいなどと思考回路もおかしくなりながら歩いていった。


神社に着くと伯父が外でタバコを吸っていた。


「伯父さん」

私は必死に声をだした。


伯父は気づくのだろうか。


伯父はびっくりした顔をして加えていたタバコを落とした。

「お前、由梨か?何で・・・」


「よかった、伯父さん私が見えるんだね」


私は安堵し矢継ぎ早に質問を続けた


「お母さんは?お父さんは無事なの?」

伯父は顔を下げて答えた

「死んだよ、あの事故でみんな」


わかってはいたがやはりそうだったのか・・・認めたくはなかった事実が現実になった。

しばらく静寂がつづき伯父が口を開いた。


「お前はなんでここに残ったんだ?」

残った?そういえば伯父はみんな死んだといった・・・

ああ、やっぱりそうなのか


「伯父さん、なんで私が見えるの?」


「俺にもわからん、俺はそんな特別な力をもってねえし、ただ見えちまうもんはしかたねえだろう。とりあえず、家に入れよ、ばあさんは今は…ほらいろいろあって病院にいるから俺しかいねえけどよ」

病院・・・仕方のないことだろう。認知症の祖父を介護しながら、だめ息子が帰ってきて、頭を悩ませそこに私たちの死の知らせが届いた。頭もおかしくなるだろう。

ひとまず私は家に上がった。さてこれからどうしたものか。

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