閑話1 暴君フランスへ。

 ヴェッセルの調教をやっている颯の裏に、凱旋門賞へ意気込んでいる騎手である池川兼道いけがわけんどうはいきなりアンオーリブのオーナーである佐々野に呼ばれていた。


「あのぉ~、話って何でしょうか?」


「君には凱旋門賞に行ってもらう必要はない。」


「・・・は?ど、どういうことですか?」


「言ったとおりだ。君には凱旋門賞でアンオーリブに乗ることは無い。」


彼は、頭を真っ白にして、オーナーに詰め寄っていく。しかしそんなことをやっていても話を聞いてもらえない。


 そうして彼は凱旋門賞を限定して主戦騎手から降ろされたのだった。


「クソっ!!なんでだよっ!!なんで・・・なんでっ!!」


これも別の話だが、彼はこの後に控えられている秋クラシックとシニアG1レース(ホープフルSを除くき)をすべて勝利するというあり得ない記録を残すのだがまた別の話。




 そうして、8月の中頃にオーリブはスポーツ新聞の表紙を飾り始めていく。そして、その三日後、オーナーと調教師、厩務員がフランスへ渡った。そうして、ニュースではアンオーリブのジョッキーの乗り代わりと共に、ステップアップレースであるニエル賞の出走が決まったことが、競馬界に広がったのだった。






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