身体測定は恥ずかしいです。

 ◆六花―― やるじゃん凪!


 珍しく六花りっかから個別でメッセージが届いていた。

 凪は「何言ってんだ」と。

 六花の言いたい事がよくわからないま無視をしていた。


 そんな本日は身体測定。


「はい静かに。女子は教室で。男子体育館な。急げよ。男子は時間まで戻ってくるんじゃないぞ」


――えーっ!


――別々かよー!


「なーぎさー! サクッと終わらせて教室戻ろうぜ」


 体育館へ移動しているとクラスメイトの声。

 彼はゲヘゲヘ言いそうな目つきで凪の肩に手を回しながら話しかけてきたようだ。


「何言ってんだよ」

「お前だって女神様のアラレもない姿、ぶふっ――見てーだろ?」

「こらこら、凪に余計なこと吹き込んでんじゃねーよ」


 そう声をかけてきたのは凪の友人の真司しんじだ。


「いいじゃんよー、減るもんでもないだろ?」

「うるせっ! 早くいけっ」

「いてーなぁ……」


 ゲヘゲヘクラスメイトは、どうやら真司に尻蹴りを入れられ逃げていったようだ。


「さすが副会長、頼りになるな」

「当たり前だろっ! 俺は英雄王だ!」


 真司は「ぬわっはっは」と、腰に手をあて大笑いの仕草を見せている。


「なー真司」

「ん?」

「女神様って?」

「あー汐栞のことじゃね? 知らんけど」

「へー、ところでさ」

「どした?」

「六花からわけわからんメッセージきたんだけど」


 凪はスマホを取り出し真司へと見せた。


「あー……うん。わからん! 聞いとくよ」


 そう言い残し真司は「先行ってるな」とさっていってしまった。


 (あいつらほんとに付き合ってんのか?)


 置いていかれた凪は不満げに体育館へと足を踏み入れた。


 女神様ねぇ。

 確かにまぁ。

 可愛いとは思うけど。


矢代やしろー、おーい、次ー矢代だぞっ。おーい」

「あー、ごめん」

「何ボケっとしてんだ?」

「いやなんでもない。すまん」


 本当にボケーッとしてたようで凪は慌てて各項目の計り台へと急いでいった。

 どうやら今のところ凪のガタイは、一般的な男子高校生と変わらないようだ。


 (んー、もう少し身長が欲しい……)


 測定が終わる時間まで体育館の端で座っていると、


 ◆六花―― 身長どうだったー?


 グループメッセが届いた。


 ◆真司―― 176だぁ!

 ◆汐栞―― 155 ( ;꒳​; )

 ◆真司―― 六花は?

 ◆六花―― 161


 (今どき高校生って報告するのが普通なのか?)


 凪はスマホをマナーからサイレントへと切り替えてそっとポケットへしまった。


 (汐栞……小さいな)


「真司ー」

「なんだー?」

「最近遊んでなくないか? 俺たち」

「まあーそうだな」


 体育館端で暇をもてあましていた凪。

 凪はふと思ったことを隣の真司へ問いかけたところだ。


「たまにはどうだ?」

「日曜日とかなら平気だぞ? まだ生徒会忙しいんだよ――それに」

「それに?」

「生徒会長厳しいんだ」

「へー」


 (名前なんだっけか)


川井 静香かわい しずかだ。なんか俺にだけ厳しいきがすんだよなあ」

「へー、六花には?」

「普通なんじゃね? 知らんけど」

「ふーん……、あっ」

「あっ?」

「ゴールデンウィークは?」

「あー、なんかするか?」

「うーん」

「でも、六花にも誘われるだろうしな、なら四人でどーだ?」

「四人? あー汐栞か」

「汐栞? おいおい、凪――って言ってなかったか?」

「まー、そーだな」


 あれ、なんか気まずっ


「ふーん……。とりあえず六花に聞いとくわ、汐栞に聞いとけよー」


 凪は何となく誘ったまではよかったが。

 が、どうにも気まずくなってしまう。

 それ以上は返事をしなかった。

 男子生徒のスケベ心は裏切られ特に出来事もなく身体測定は終わった。


 どのクラスの男子生徒もため息をつく生徒が多かったのだが理由は言うまでもないのであろう。







※※※※※※※※※※※※※※




汐栞ちゃんを応援して下さる皆様へ。


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