第4話『温かいいつものまかない』
スーツのジャケットを脱ぎ、エプロンを身に付けます。
手を洗ってから……カウンター下の冷蔵庫と冷凍庫を開けました。
ランチ営業がまだ難しいのと……夜の営業もほぼ喫茶店とカフェのような営業と変わりありませんので、食材もほとんどまかないに回しています。
最近、
出来る限り、豪華にしたいものです。
「颯太君、嫌いなものはありますか?」
「ある」
僕が聞くと、颯太君は扇子を開いて険しい顔をされました。
「……お前でもあるんか?」
「あやかしだって、好き嫌いくらいあるよ!! あるある!! キノコダメ!!」
「「キノコ王国にいるのに!?」」
ここ長野は、キノコの収穫時期になれば……王国と謳われるくらいの宝庫となりますのに。やはり、人間でも妖怪さんでも食べ物の好き嫌いはあるのでしょう。
「……わかりました。洋食や和食だと、気分的には?」
「んー……せっかくだから、洋食かなあ?」
「ですと。乳製品などは?」
「大好き!!」
とくれば……ある材料も活かし。
かつ、ついでに僕らのお昼ご飯も作ることにして……ささっと作ることにしましてた。
鍋の中身がぐつぐつ言う音。
フライパンの中身がいい感じの焼けていく音。
それらのBGMを聴きながら……出来上がった品は。
「はい。僕お手製のオムハヤシです」
やはり、これになってしまいますね?
「おお!
「わあ! オムライス? ハヤシライス? どっちも?」
「どっちもやで〜? 柊司のはめちゃくちゃ美味い!」
「わーい!!」
僕も、久しぶりにカウンター側で食べることになりました……沙羅ちゃんにはこれが食べられないのと、今日の功労者ということもあり。
先ほど、
さらに、その豆カスをご用意しましたよ?
「あーう、あ!」
「沙羅ちゃんもご飯ですよ〜?」
「う!」
「美味しい〜!!」
颯太君が早速食べてくれていたようで……その満面の笑みに、僕も心が温まります。
自分や
両親に姉さん……彼ら以来、は流石にないですが。本当に久しぶりです。
やはり……調理師はまだ難しいですが、他の資格取得を考えましょう。
この
僕も、店長らしく考えなくてはいけません。
「今日のも美味いで、柊司!」
「お粗末様です」
「んー! これしょっちゅう食べれるなら……もうちょっと頻繁に通おうかなあ?」
「ま、ほどほどにな?」
おふたりの仲が少しずつ、良くなっていくのも嬉しいです!
あの欠片……と言うので得たお金はともかく。
こんなにも居心地の良い空間を得ただけでも、僕は大満足です。
ちなみに、賢也君もですが颯太君もお代わりしたいと言い出したので……僕も、久しぶりに自分のをお代わりするくらい、食欲が出てきました。
沙羅ちゃんも、お代わりご希望でした。
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