第3話 主の親友
「おーい、来たで〜」
客ではない、ヒトが来た。
沙羅の主である、
賢也は、沙羅と目が合えば……少し鋭い瞳を緩ませ、沙羅の本体である頭のかぶりもの越しに、撫でてくれた。
悪いやつでは……ないのだ。
最初、沙羅が赤子に転化した際には……色々反対はしていたが。
「沙羅! お前の好きそうなもん、また買ってきたで!」
「う?(また?)」
主に害のない存在だと……沙羅のことがわかれば、賢也も沙羅の事を気にかけ、色々用意してくれるようになった。
主に手拭きを手伝ってもらいながら……床に敷いた、『らぐまっと』と言うものの上に沙羅をおろし……たくさんの品物を広げてくれた。
「わぁ! 服ですか!?」
「ええやろ?」
出してくれたのは……服。
もこもこした……
コウモリや南瓜の意味がわからないが。
「あ、この組み合わせは……ハロウィン?」
「せや。隣町が、毎年商店街あげてハロウィンイベントやるんよ。んで、うちも出張参加出来んか柊司に聞きにきたんや」
「と言いつつ、主催側には参加すると提出したのでは?」
「流石にせんわ」
何やら……楽しげなことがあるらしい。
主は、今でこそだいぶ回復しているものの……心と身体の『病』に犯されている。少しずつ……沙羅のケサランパサランとしての力を与えてはいるが……それもほんのわずかだ。
あやかしもだが、人間はその病にかかると……薬を頼りにしないと酷い状態になってしまう。
まるで、術にかかったかのように……そんなこと、主には相応しくない!
沙羅がいるのだから……絶対に完治させるんだから!!
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