第2話『餡菓子にコーヒー』②

 と、とりあえず……おはぎを食べることになりまして。


 僕はまず、沙羅さらちゃんが食べやすいように切り分け……小さいフォークで口に運んであげますと、すぐにほっぺをピンク色に染めてくださいました。



「う、う! あー!」



 そして、自分でコーヒーのカップを持てますので。転倒防止用の蓋つきストローをくわえて、ちゅーちゅーとコーヒーを飲みました。ちゅぽんと離れると、お顔をふにゃふにゃにして……いかにも、恍惚の微笑みを見せてくださいましたとも!



「……美味しかったですか?」


「あう!」



 沙羅ちゃんは首を上下に振ってくださり、喜びを体現しました。僕も嬉しくなり、もうひと口……最初は粒あんでしたが、今度はこしあんのをあげてから……ケサランパサランの本体であるふわふわ帽子を撫でさせていただきました。


 そちらのおはぎにも、沙羅ちゃんはとても喜んでくださいましたよ!



「おいひー!」



 颯太ふうた君も喜んでくださっているようなので、そちらを見ますと……あっという間にふたつ用意したおはぎを食べ終えていました。その後に、興味深くコーヒーのカップを覗き込んでいましたが。



「ものは試しとも言いますでしょう?」



 勧めてくださったのは、火坑かきょうさんでした。彼は既に試していましたが、とても美味しそうに口に運んでいましたよ。



「ふーん…………あ、美味しい。苦味ほとんどないや?」



 アドバイスを受け入れて、口にしてみると意外性に感心されたようです。少し冷めたコーヒーをごくごくとまではいきませんが、早いペースで飲んでくださいました。



「本当に! しるこサンドとかのお菓子で合うのはわかっていたんですが、あんことコーヒーって合いますね!」



 美兎みうさんの方も、ゆっくり少しずつ召し上がってくださいました。旦那さんに似て、作法とかがとても綺麗です。もともとの性格もあるからでしょうか?



(では、僕も)



 最初は粒あんの方をひと口。


 上質なあんこの滑らかな舌触りに、甘さ。


 そこに、いくらか粒を残した……餅の部分。


 お互いがいいところを引き立て合い、実に美味です!


 飲み込んだ後に、マンデリンを飲むと……洗われていくようなのももちろんですが、コーヒーの苦味とあんこの甘味が程よくお互いを引き立て合っています!!


 これは実に美味しい!!



「お役に立てましたか?」



 火坑さんが、ご自分のを食べ終えた後に……僕にそう聞いてきました。僕は、もちろん頷きますとも!!



「はい! 沙羅ちゃんにも喜んでいただけました。ありがとうございます!」


「それは何より。しかし……お話と今回でわかったことですと。沙羅さんはもち米も口に出来るようですね?」


「そうみたいだねー?」



 たしかに。うっかりしていましたが、その通りです。


 またひとつ……沙羅ちゃんの食べられる食材が増えました!

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