第3話『微妙なあんこコーヒー』

 休日とは言え、かなり濃い一日を過ごしてからは。


 間半まなかさんもですが、颯太ふうた君も来ることがなくなって数日後。


 僕はまた、沙羅さらちゃんのために更なるコーヒーとあんこの組み合わせを考えていました。



「ん〜〜〜〜」



 昨今、ネットサーフィンが普及しまくっている現在ですので……調べれば調べるほど、様々な情報が出てきます。にわかから真実に近いものまで多種多様です。


 なので、僕は今……あんことコーヒーの組み合わせがどれだけ存在するのか調べていたのですが。これは合うのかわかりませんでした。



「……コーヒーに直接あんこを沈める方法」



 別々なら全然わかりますし、沙羅ちゃんが気に入ってくださったので合うのは実証済みです。


 しかし……この方法ですと、ホットコーヒーの中に直接あんこを沈めるようです。お菓子で組み合わせがあるのは知っていますが、本当に飲み物でも合うのでしょうか?



「いえ、試さずに否定するのも良くはありません」



 ネットではこしあんと粒あんどちらでも楽しむことが出来るとありました。


 なので、僕用には粒あん。沙羅ちゃん用にはこしあんにします。と言っても、コーヒーの中にあんこを入れてかき混ぜるだけですが。


 お客さんがいい感じにいませんので、今こそ試すチャンスです!



「あー、あ!」


「お待たせ致しました、沙羅ちゃん」



 よくかき混ぜないと沈澱しやすいので、沙羅ちゃん用には先に淹れたコーヒーでゆるく溶き……さらにぬるめのコーヒーでよくかき混ぜてからコップへ。


 僕はその必要は特にないので、濃いめのブレンドの中に粒あんを。


 さあ、いざ! と言わんばかりに……それぞれ口にしてみますと。



「……うー」


「うーん。悪くはないんですが」



 自家製のあんこよりも……既製品の甘味が強く、粘度も高いものの方が合うかもしれません。一説では、僕の故郷である愛知県の一部では伝統的な飲み物だと言われていますが……あちらのあんこを使ったせんべいとは同じように合うには個人差があるでしょう。


 しかし、お残しは基本しなくなった沙羅ちゃんは最後まで飲み終えました。



「あう、あ!」


「何かお口直しに食べますか?」


「あ!」



 秋口に近づいてきましたので……冷たいものばかりではいけませんし、何か温かいものがいいでしょう。


 お餅とかは、沙羅ちゃんのお口にはまだあまり受け付けませんので……あんこだけのお汁粉にすることにしました。



「はーい。お待たせしました」



 こちらも出来るだけ熱すぎない温度にしたものを、僕がスプーンで食べさせてあげますと……輝かんばかりの笑顔になってくださいましたよ!


 コーヒー以外にも、食べるものが増えて本当に良かったです!!



「……こんにちは」



 最後のひと口を食べさせた後に……お客様がいらっしゃいました。


 ご夫婦かカップルか……とてもお綺麗な男女でした。僕くらいの年頃の。



「いらっしゃいませ」



 手には食器を持ったままですが、僕はいつもの笑顔で接客しますとも。

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