第4話 ぬらりひょん登場
「それは……君が稀有な人間だからだよ?」
ほうじ茶をひと口飲もうとした時、
「あ、総大将」
「こ、このオッサンがか!?」
「やあ、座敷童子の」
おじさまは、僕の頭をぽんぽんと軽く撫でてくださいますと……今度は颯太君に向き直りました。
「今は颯太と」
「そう聞いているねぇ? お前が、ケサランパサランの一角を人間の子に与えてしまったが……うまく、溶け込み生活させている。そのような人間の子を、祭りにも溶け込みさせた。だからこそ……僕も気になったんだ」
「そのようで」
なんと言いますか。
颯太君が、目上の人に対して……きちんと対応しているような気がします。
賢也君も同じ考えなのか、お口をチャックして湯呑みをゆっくりテーブルに置いていましたよ。
「あ、あの……」
だけど、このお話の中に僕は含まれているようなので……恐る恐る、間に割って入りました。
「なんだい?」
「あなたが……『ぬらりひょん』さんなんですか?」
改めて、おじさまのお顔を拝見しますと……男から見ても『カッコいい』と言われそうなほど、ナイスミドルなおじさまでした。お髭も丁寧に整えられ、目元も涼やか、服装も和服に洋服を合わせた不思議な組み合わせでも……とてもよくお似合いですね?
今時、あまり見かけない……黒いソフトハットを被っていました。大変お似合いです!
おじさまは、僕が質問すると……にーっこり、と音を立ててしまうくらい綺麗に微笑んでくださいました。
「そうだよ。僕があやかしの総大将こと、ぬらりひょんの
「は、はい!
「うんうん、礼儀正しくて良い子だね? そっちの若造は、いささか異質のようだけど」
「じゃかしい!?」
賢也君は、ちょっと意地悪を言われたからか……間半さんに突っかかってしまいましたが。
「しかし、総大将? 僕がせっかく伝えにきたのに、ご自分で来られるとは」
「いや〜、僕も何気に忙しい身。来られるうちに来ただけさ?」
「そうですか」
「そうなんだよ」
妖怪さん達の間で納得したのなら、良いのかな?
「う、うー?」
僕がほっとしていますと、
「おかわりですか?」
「う!」
「おやおや。本当に、普通の赤子に見えるねぇ? なにを飲ませているんだい?」
「……コーヒーです」
「おや、コーヒーを?」
「最初に食ったんが、コーヒー豆のカスだったからなあ?」
「ほー?」
すると、間半さんは僕の方に振り返って……いかにも『飲みたい』と眼差しを向けてきました。
「……ちょっと時間かかりますけど、飲みます?」
「いただこう!」
椅子が足りないと思いましたが、そこは妖怪さんである間半さんが魔法か何かでぽんと出してくださいましたよ。
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