第3話 机の上から
「ヤッホー!!」
そして、ほうじ茶でひと息吐いている時に……なんと、いきなりテーブルの上で煙も何もなく、
「ぶふぉ!?」
いきなりの出来事に、僕はしませんでしたが
「あっはは〜? 賢也君って、ほんと面白いねぇ?」
「…………土足で家に上がるなや」
「一応、草履持ってるよー?」
ほらほら、と確かにいつもの扇子を持っているのとは別の手に綺麗な草履を持っていました。足には足袋だけです。
「いらっしゃい、颯太君。面白い登場の仕方ですね?」
「
「いえいえ、きちんと驚きましたよ?」
ただ単に、賢也君のように過度に驚くリアクションが出来ないだけですが。
それが不思議だと思いましたのか、颯太君は扇子をたたんでから……ひょいとテーブルからおりて、実はまだ太鼓焼きをもぐもぐしている
「あ。小豆食べてるの?」
「はい。賢也君が持って来てくださった、太鼓焼きと言うお菓子ですが」
「太鼓焼き??」
「大判焼きとか今川焼き言うん菓子やで」
「へー? たい焼きとも違うの?」
「生地や作り方とかが、違うようですよ」
「……まだある? 食べてみたーい」
「ちょっと待ってください」
残りを見てみると、ちょうど一個あったので早速温めてから……席の関係で賢也君の隣に腰掛けていた颯太君の前に、お菓子を載せたお皿を置きました。
「へー? こんなお菓子あるんだ?」
「……長生きしとる妖怪でも知らんの?」
「作る存在がいないとねぇ?
「そうなんですね?」
美麗さんにも色々お世話になりましたし、何かお礼をしたいところですが。
新しく淹れたほうじ茶の湯呑みを置いて、どうぞと勧めると……颯太君はかじらずに半分に割ってから声を上げました。
「わぁ!? あんこたっぷり!! …………おいひい!!」
やはり、小豆が大好物の座敷童子さんらしく、とても美味しそうに食べてくださいました。中学生くらいの美少年が外見相応の食べ方をされると、なんだかほっとしますね?
「んで? 様子見ついでに、なんか用あって来たんちゃうん?」
賢也が何故かそんな質問をされると……当たっていたのか、ごっくんと太鼓焼きを飲み込んだ颯太君はにっこりと笑顔を見せてくれました。
「そう。沙羅を見て……興味を持ったあやかしが、昨日の祭りで数多く出た。けど、僕だってそれなりに立場のあるあやかしだから……まあ、説き伏せたんだけど。ひとりだけそうもいかなかった」
「……誰なん?」
真剣なお話に僕もですが、賢也君も唾を飲み込みました。
「……あやかしの総大将とも言える、『ぬらりひょん』」
「はぁ!?」
「ぬらりひょん……さん?」
「それはあやかしとしての名称だけどね?」
颯太君は、ちょうど真正面になった沙羅ちゃんを見ましたが……沙羅ちゃんは太鼓焼きを食べ終えた後に、口を潤すのに乳幼児用のコップでぬるめのコーヒーをたっぷり飲んでいました。
「う?」
「ぬらりひょん自身が、沙羅もだけど……柊司君も連れてきてってさ」
「僕もですか?」
「主であるのは、あの人だからすぐわかるし……形態変化させた、ケサランパサランがこれだけ慕っている人間もそうそういない」
「……いつ、来い言っとるんや」
「んー……出来れば、二、三日のうち」
「……柊司は行くんか?」
「……そうですね」
妖怪さんのお偉いさんが、沙羅ちゃんに興味を持つのはわかりますが……何故、僕もなのでしょうか?
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