第七章 綿ぼこり食生活改善

第1話『多種な小豆料理』

 沙羅さらちゃんの、新しいご飯を見つけたからには……腕を振るうしかありません!!



「どうでしょうか!? 沙羅ちゃん!!」


「う?」



 妖怪さん達の夏祭りを終えた翌日。


 お店はちょうど定休日だったこともあり、僕は目が覚めてから沙羅ちゃんが起きるまで……ずっと、ずーっとキッチンにこもって、ある仕込み作業をしていました。



「沙羅ちゃんのための、新しいご飯ですよー!」


「うー!」



 用意したのは、コーヒー豆のカスはもちろんの事。


 昨日で判明出来た……沙羅ちゃんが、実はコーヒー以外に食べることが『あんこや小豆』なら可能だとわかり。あの耳長族の美麗みれいさんに小豆の産地などを伺って……翌日の今日に、僕はずっと作っていたのです。


 あんこだけでなく、小豆料理達を!!



 お汁粉


 善哉


 赤飯


 あんころ餅


 水羊羹


 蒸し羊羹


 蒸まんじゅう



 と言った、素朴なラインナップですが……僕の腕前で出来る限りの料理を振る舞ってみました。


 もちろん、コーヒーと合いそうな品揃えで。


 和菓子にコーヒーが合うのは、今の日本だとだいぶ浸透していますからね?



「ささっ。お姫様のお席はこちらですよー?」



 テーブルに合わせて、ベビーチェアの調整をして……沙羅ちゃんの目に写りやすい位置に料理を並べていくと、沙羅ちゃんは『きゃー』と嬉しそうな声を上げてくださいましたよ!



「うきゃー」


「全部、沙羅ちゃんのですよ?」


「う?」


「はい。少しずつ食べてみませんか?」


「あ!」



 ぴっ、と手を挙げる仕草も今日とて可愛いです!


 とりあえず……まずはお口に中をぬるめのコーヒーで潤して、食べやすい善哉をスプーンで食べさせることにしました。お餅や白玉はたくさん食べれるかわからないので、そちらはあんころ餅だけにしました。


 あんこのスープ……だけですが、ゆっくり口に入れてあげますと。


 やはり、昨日の美麗さんのお店の時のように、もぐもぐしてからごっくんと飲み込んでくださいましたよ!?



「美味しいですか?」


「う! あ!」


「では、次はこちらを」



 少し固形物もいいかなと思いまして……少し甘めの赤飯にしました。普通の小豆ではなく、甘納豆です。こちらの方が炊飯器でも簡単に炊けると、ネットのレシピでもありましたので……試してみました。味は、たしかにデザートを食べているような不思議なおこわみたいに思いましたが。


 甘納豆多めの炊けたもち米を食べさせてあげると……こちらは、手を上下に振るくらい喜んでくださいましたよ!?



「う! う!」


「もっと食べたいですか?」


「あー!」


「少し待ってくださいねー?」



 せっかくなので、かなり小さめのおにぎりにしてあげますと……コップを持てるので、大丈夫だった沙羅ちゃんは上手におにぎりを食べてくださいました。


 これを……賢也けんや君に写メでメッセージに載せて送りますと。



『俺にも直に見せろや!?』



 と言うわけで、お客様が増えることになりました。

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