第4話『あんこ玉くじの結果』

 それから、たっぷり数分は経ったでしょうか。


 沙羅さらちゃんが、『これだ!』と言わんばかりにあんこ玉のひとつに小さな指を向けました。



「これでええどす?」


「う!」


「ほんなら、お兄さんが抱っこしとりますから。うちが割りますー」


「お願いします」



 美麗みれいさんが、沙羅ちゃんの選んだあんこ玉を手に取り……パカっと割ってくれました。


 中身は……赤い小さなあんこの色が!!



「おや。いきなり大当たり」


「うー!」


「凄いです、沙羅ちゃん!!」



 さすがは、幸運の象徴であるケサランパサランです!!


 嬉しくて高い高いしてあげると、沙羅ちゃんも喜んで『きゃっきゃ』とはしゃいでいました。



「ほんなら、この鯛もやけど。あんこ玉も美味しいえ? お嬢さんおひとつどうぞ?」


「う?」


「あの、実は……」



 美麗さんに、沙羅ちゃんの食生活を話しますと……美麗さんはお綺麗な眉間に皺を寄せました。



颯太ふうたはんが持ってた一部が? それも不思議やなあ? けんど、形態変化だけでなくご飯もこれまた特殊……ふぅん?」



 すると、何故か沙羅ちゃん用に割ったあんこ玉の一部を沙羅ちゃんの口に近づけたんです!?



「う?」


「こぉひぃやないけど……食べてみ? きっと口に合うで?」


「あんこですよ?」


「あんこやのに」


「まあまあ」



 なので、抱っこしている僕が受け取って……沙羅ちゃんのお口に寄せました。


 沙羅ちゃんはじーっと見つめていましたが、すぐにバクっとお口に入れたんです!?



「沙羅ちゃん!?」


「沙羅!?」


「うー!!」



 すぐに吐き出すかと思えば……コーヒーの豆かすの時のように、もぐもぐと食べていたんです!!


 僕もですが、賢也けんや君も初めて見たので驚きを隠せませんでした!!



「あー、多分あれだね?」



 事情をわかっていない僕らに、何か食べていた颯太君がわかったように何度も首を縦に振っていました。



「どういうことや?」


「沙羅は、もともとは僕が持ってたケサランパサランでしょう?」


「そう聞きましたが」


「まったくじゃないけど……影響が残ってたのかも。賢也君ならわかるでしょ? 僕ら座敷童子の好物」


「! 小豆か!!」


「だから、沙羅でも食べられたんじゃない? あくまで憶測だけど」


「……よかったです」



 ちゃんと、お菓子でもきちんとした食事を食べられるということが。


 思わず、沙羅ちゃんに頬擦りすると沙羅ちゃんは嬉しそうに声を上げてくださいました。



「お役に立ててよかったわぁ。せやったら、お兄さん達も」


「ええ」


「おん」



 くじの結果は、僕も一等。


 賢也君は何故か三等でした……。


 颯太君も、幸運の権化ということ一等です。


 沙羅ちゃんは、それから僕が千切りながら上げた鯛の和菓子は全部完食してくださいましたよ!!

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