第3話『濃厚アフォガート』②
お客様が帰られてから……
これらふたつをあわせて……アフォガートの完成です。
沙羅ちゃんをベビーチェアに座らせ、付属の小さいテーブルの上にアフォガートの器とスプーンを置きました。あと、空のお皿も。
万が一に、沙羅ちゃんがアフォガートを吐き出した後の防衛策です。無いよりはマシくらいの対処法です。コーヒー豆のカスより、大袈裟かもしれませんが……せっかくの可愛い服が台無しになるのも大変だからです!
「あーうー、あう!」
沙羅ちゃんはエスプレッソの香りが嬉しいのか、手足を可愛いらしくばたつかせていました。
「さあ、沙羅ちゃん。お口を開けてくれませんか??」
「あー」
可愛いらしく口を開けていただいたところに、スプーンで軽く盛り付けたアフォガートを。
そーっと口にスプーンを運んでみますと、もぐっと沙羅ちゃんが口を閉じてくださいました。
これは……!? と僕も思ったんですが、見事にリバース……受け皿の上に全部吐き出してしまい、口の周りがベトベトに。なので、ささっとウェットティッシュで拭いてあげます。
「……難しいですか」
「うー……」
沙羅ちゃんも残念がっているようだったので、残っていたエスプレッソをお湯で割り。氷で少し温くしたものをいつものコップ容器に入れてあげました。
それを口にする時は、実に美味しそうにくぴくぴと飲んでくださいますが。
「うーん。長期戦覚悟。別に取り立てて急ぐわけでもありませんし」
豆カスやブラックコーヒーがご飯と言うのは……他所から見ると虐待に思われるかもしれませんが。実際は人間では無いので、これでいいんです。現に、美味しいと思ってたくさん食べてくださっていますから。
「おーい、
沙羅ちゃんにエスプレッソ用に使った豆カスを食べさせたくらいに、ちょうど
手には、沙羅ちゃんが来てから見慣れたウサギちゃんがロゴにある紙袋を。
「賢也君。今日もですか??」
僕がその紙袋を受け取り、カウンターに広げれば色とりどりの服やらおもちゃやらが。
「この辺は山間部やで!? 京都とかと比べても寒暖差はあるんやから……人間やないからって体冷やしたりしたらあかん!!」
「それはそうですが……沙羅ちゃん用に買った引き出しがもうぎゅーぎゅーですよ? おもちゃはまだここにも置けますが」
「ちっちっ! 柊司は愛知育ちやねんから長野の冬の恐ろしさは初めてや。沙羅はわからんが、人間と似た体になったんやから、今のうちに服とかには慣れささんと」
「……と言いつつ、沙羅ちゃんが可愛いからですよね??」
「否定はせん!」
なんだかんだで、賢也君も親戚のおじさんのように沙羅ちゃんを可愛がってくださいます。僕らには、年代的に言うと沙羅ちゃんくらいの子供がいてもおかしくありませんが……僕もですが、賢也君もフリーですので。
僕としては、沙羅ちゃんと言う
とりあえず、夏用のウサギパーカーとセットの尻尾付きパンツを履かせた沙羅ちゃんの姿に……僕らはさらにメロメロになってしまいました!!
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